Sincere love | ナノ


 

 story12.
  With the neckache and you (1/2)




きっと夢の中でも貴方を思う

この気持ちに嘘はない
一筋の光を信じているから





story12.
With the neckache and you





「はー蔵って本当格好良い…」



送ってもらった写メに見惚れるアタシ。

いつも一緒に居る時はニコニコしてて優しく笑う顔が好きだった。
だから、この画像のような無表情な蔵は逆に貴重で格好良い。

待ち受けにしたい…
でももし見られたら恥ずかしいし引かれないかな。
でももしかしたら蔵もアタシの写メを待ち受けに…キャーー!そんなの照れる!
………ってそんな事するわけないよね。

まぁいいや、蔵が居ない間だけでも待ち受けにしよう。寂しくなればこれを見ればいい。



「蔵……」



“名前、好きや…”



そうだ、アタシ昨日蔵と……

思い出す昨夜の情事。蔵は腫れ物を触るかのように大事に大事にアタシを愛してくれた。
あらゆる箇所にされたキスを思い出しては顔が熱くなる。



「あれ、コレってまさか…」



鏡に映る自分の姿を見てビックリした。
鎖骨の上辺りにある赤い跡。

こ、これって、キスマーク…?
正直に言うとこういう事の経験はあるけれど、キスマークを付けられたのは初めてだ。



「アタシ、本当に蔵と…」



ひとつになった。そう実感した。
昔友達が付けていて自慢気に話をされた事があったけど、こんなもの恥ずかしいのによくやるわ、なんて思ってた。でも今はその気持ちが分からなくもない。
これが愛しいって素直に思える。

蔵のモノだって言ってくれてる気がして。



「……よし。今日はお祝いだー!」



蔵ともう一歩前に進む事が出来て最高に幸せなアタシは1人で豪華な夕食を作ろうと思った。
出来れば蔵と一緒が良かったけど、事情が事情で実家に帰ってるわけだし、今日は1人でも平気だから。

そうと決まればスーパーに買い出しに行こう、そう家を出て暫くしてからだった。



「あ……」

『名前ちゃん、』



タイミング良くか悪くか、またも侑士君に会ってしまった。

そりゃ近所をうろついてるんだから会う事だってあるだろうけど何でこういう時に…。



『……その赤い跡…なんや白石と仲直りしたんや』

「、アタシ行く所あるから」

『そない警戒せんでええんとちゃう?俺かて鬼やないねんで』

「そ、そういう意味じゃ、」



どうしよう。
蔵にも侑士君には近寄るなって言われたばっかりなのに…



『そうや。名前ちゃん、俺な――』

「!」

『………………』



侑士君が耳元で何かを言おうとアタシが構えたその時、目の前に大きな背中があって。



『…第二の王子様登場、っちゅーやつか』

『コイツに近寄らんで下さい』

「ひか、る…?」

『はいはい。俺が帰ればええねんやろ。またな、名前ちゃん』

『……………』

「光、有難う――」



突如現れた光に助かったとお礼を言ったけど――…

駄目だ、アタシ昨日光に酷い事……



『ん、ええよ』

「あの光、昨日……」

『何の事や?』

「え、」

『昨日って俺寝てたんやけど。何かあったん?』

「光………」



光の優しさに、泣きたくなった。
光にとっては思わせ振りな態度だったはず。それに、その後すぐ忘れてだなんて…それにも関わらず忘れたフリをしてくれる光。

止めてよね、そういうの。泣き虫なアタシはやっぱりすぐ涙腺緩んじゃって、堪えるのに苦労するんだから。



「光ごめん、有難う」

『お礼はともかく謝られる理由が分からんへんわ』

「もう…」

『涙目になるとか阿呆ちゃう?』

「っ、馬ー鹿!」



この憎まれ口こそ優しさの表れじゃん。
光って不器用。でも本当に有難う。



「あ、そうだCD!確か鞄に入れっぱなしだったと思うんだけど…あ、あったあった」

『おおきに。っちゅうか今日部長と一緒やちゃうん?』

「うん。蔵のお婆ちゃんが入院したみたいで実家帰ったんだ」

『フーン』



鞄からCDを取り出して光に渡すと、光は眉をひそめた。



「どうかした?」

『、なんもあらへん。名前?』

「うん?」

『飯でも食いに行かへん?今日臨時収入あってん。奢ったるわ』

「本当に!?いいよ、行く」

『ほな行くで』



光と友達としてならご飯くらいいいよね。光だってアタシが蔵の事好きだって分かってるもん。

アタシはそんな安易な考えしか出来なかった。




  □




「あー美味しかったー!」

『そらそうや。お前が食べてたんただの焼肉ちゃうねん。霜降り和牛やで』

「アハハ、ご馳走さまでした!」



ええとこあんねん。と連れて行かれた先はちょっと値が張る焼肉で、やっぱり何の心配も無くご飯は終わった。

それにしてもあのお肉が溶ける感じたまんない!癖になりそう…
バイトもしてない学生に贅沢は禁物だけど。



『ちょっとついでに寄りたいとこあんねんけど』

「え、何処?」

『ええとこ』



そう言って光はスタスタ先を歩く。
ええとこって…何だろう。
まさかそんな変な場所じゃない、よね?大丈夫、光はそんな人じゃない。……多分。





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