story11.
top secret (1/2)
やっと見つけた
もう絶対無くしはしない
2人でこのままずっと
story11.
top secret
「名前ちゃん、名前ちゃん、」
『蔵…』
「名前、好きや……」
あの後、俺と名前ちゃんは遂にひとつになった――
『あ、あの、蔵…?』
「起きてたん?寝てんのか思てた」
『、勿体なくて…蔵と話したい事いっぱいあるのに、寝るのは勿体ないでしょ…?』
「―――――」
アカン。可愛い。
普通に照れてしもたやん!
『蔵が眠いなら別に今度でいいんだけど、』
「…俺も。今日はずっと名前ちゃんと話ししたい」
そう言うと、彼女は視線を下に向けつつ柔らかく笑った。
□
忍足の部屋から出て行ってから、俺は自己嫌悪に陥った。
見たこともない完璧にイってしまってる放心状態の名前ちゃんの顔を見た瞬間、もっと俺が彼女を思いやってる事が出来てたらこないな事にはならへんのやなかったんか、そう思ったら涙が止まらへんかった。
忍足にあれこれ吹き込まれたみたいやけど、もっとお互いを分かってたら名前ちゃんは俺を信じてくれてたんやないんか。
全力で彼女を愛してた。せやけど、所詮“つもり”で。ただの自己満足に過ぎへんかったんや。
自分の非力さに苛立った。阿呆や、俺は阿呆すぎた。何でちゃんと言わへんかったんやろ、何で朝“会いたい”ってメールくれた時に会われへんかったんやろ。
あれはきっと名前ちゃんのSOSやったんや…全ては俺の蒔いた種やってん。
それから、泣く泣く名前ちゃんは俺に謝ってた。
“ごめん泣かないで”
謝らんで。俺のせいやねん。
名前ちゃんが謝ってたら俺は何て言えばええねん。
せやけど、その後続いた言葉は
“光に会いたいって言った”
それやった。
途端、俺は何が何か分からへんなって俺は嫌われてるんやと頭の中で繰り返し繰り返し木霊した。
涙が出る。そんなもんやない。死にたい、本気で思てしもた。
そんな俺に、彼女は顔をグシャグシャにしなから必死で言うてくれた。
“でも、蔵じゃないと駄目なの”
もう一度彼女を守りたい。
こない駄目人間な俺やけど、まだ彼女の傍に居たい。
他の男に会いたいって言うたこと許したる。偉そうに名前ちゃんに言うたけど、ホンマは悪くないねん。
俺が寂しい思いさせやんかったら出てこうへん言葉やってんから。
嬉し涙以外流させへん思てたけど、早速流させてしもた俺。
ごめんな、名前ちゃん。
これからは哀しい思いさせた分めいいっぱい幸せにする。せやから俺の隣に居て下さい。
そして僕は彼女を抱いた
彼女が欲しくて、彼女を愛したくて、彼女に気持ちを伝えたくて無我夢中やった。
“蔵”
名前を呼ばれる度に頭は飛んでしまいそうで。
“好き”
愛を伝えてもらう度に愛しくて仕方なかった。
心の底から、幸せを感じた。
俺はもう彼女以外何も望まない。彼女と生きて彼女と果てることが俺の運命だと思うほどに。
□
「俺な、この前同じ学部の子から告白されてん」
『うん…』
ベッドの上で、名前ちゃんを後ろから抱き締めながら俺は話してない事を全て打ち明ける。
もう、スレ違いは二度と御免やから。
「俺には名前ちゃんしか居てへんし、断ったんやけど泣いてしもたんや」
『………』
「せやから俺、その子は幸せに出来やんけどその分名前ちゃんの事愛したいって思た」
『蔵……』
「俺は名前ちゃんしか見えへんねん」
『うん…嬉しい』
名前ちゃんはくるっと俺の方を向いて。
『アタシも、蔵の事しか好きになれないよ』
真剣な顔する彼女が可愛くて可愛くて。
「ククッ、知ってる」
『わ、笑うとこじゃないんだけど!』
「怒らんでや」
『だって、真面目に言ってるのに笑うし、知ってるとか言うし、』
「うん。知ってるけど、もっと言うて?」
『、』
「もっと聞きたいねん…」
名前ちゃんから紡がれる愛を。
これ以上無い幸せになれる言葉を。
『好き』
「もう1回」
『好きだよ、蔵』
「うん…」
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