Sincere love | ナノ


 

 story4.
  overnight trip of love (1/2)




君の隣に居るのは僕だけ

どうか、君の笑顔を涙さえも僕に下さい





story4.
Overnight trip of love





「名前ちゃん」

『、なに?』



名前を呼べば、顔を赤くして振り向く君。



「可愛いなぁ」

『そっ、そそそそんな事っ!ない、です……』



褒めると、あわてふためいて小さくなる。



「また、明日な」

『うん…』



サヨナラを言うと、少し涙ぐんで寂しそうな表情をする。

そんな彼女が愛しくてたまらん。
俺だけに見せてくれる表情を好きやと思わんわけがない。



「名前ちゃん?」

『うん?』

「急な誘いやったのにOB会に参加してくれて有難う」



バイトが終わった後、名前ちゃんにめっちゃ会いたなって連絡入れてみたら、アタシも会いたいな。なんて言うてくれて愛車のマグザムをすっ飛ばして来た。

もう遅いし、近くの公園で1時間くらいしか会われへんけどそれでも嬉しいんや。

時間も時間になって、ほなまた明日、って言うたら目に見えてしょんぼりするから、そのまま言葉続けてしもたやん。ホンマ可愛い、帰したない。



「名前ちゃんは見てるだけになるし、面白ないかもしれへんけど…」

『ううん、蔵がテニスしてるなんて知らなかったし、大事な集まりにアタシなんか誘ってくれて嬉しい』

「名前ちゃん…」

『明日、楽しみにしてるね』



あーもう何でそんなに可愛いんや!
一泊するし迷惑やったやろか、なんて心配してたけど誘って良かった。



「明日、朝迎え行くからな」

『気合い入れて待ってる』



アカン。

撫でまわしたい……
ぎゅうってして頭よしよししてキスして、あわよくばそのまま連れて帰って……



『蔵、』

「ん!?あ、どないした?」



危ない。妄想世界にトリップしてたわ。



『これ以上一緒に居たら帰りたくなくなっちゃうから行くね』

「せやな」



寧ろ帰らんで!
俺ん家泊まったらええねんで!


なんて思っても嫌われたない俺はそないなこと言う勇気もなくて、普通に家の前まで送ってしもた。
ヘタレやん……



『じゃあ気を付けてね』

「任せとき、安全運転で帰るわ」

『うん。送ってくれて有難う』

「ほな」



結局頭撫でるしか出来ずにバイクに跨った。

外はくそ暑いのに俺の心は真冬の北極やねん。
よお我慢出来るわって自分でも思う。ホンマは手出したくて仕方ないのに。



「まぁええわ、明日からは一泊一緒や」



そうや。幾ら他の奴等がおる言うても名前ちゃんと一泊やねん。
部屋同じにしてもろたら普通の旅行やん!
ヤバイ、善い歳した男女2人が同じ部屋で一晩過ごすとか何があってもおかしない。

程よい速さで走るバイクの風を受けながら、俺は笑顔で家路を行った。


この時の俺は、昨日の財前の変化になんか気付きもせんと明日を待ちきれんくらい浮かれた状態やったんや……



「おはようさん。行こか」



朝6時。
こない早い時間や言うのに名前ちゃんは寝坊することなく大きな鞄を持って家の前で俺を待ってた。



『蔵忘れ物ない?』

「そんなん無いで。俺を誰やと思ってるん」

『アハハ、だよね』



なんかええわこの会話。
シチュエーションは全然違うけど出勤前の新婚さんみたいやない?
幸せを感じながらメットを渡すと名前ちゃんは首を傾げた。



『あの、これは、』

「メットやんヘルメット。まさか被り方分からへんとか?」

『そうじゃなくて!バイクで行くの?』

「日程表、新幹線で行くって書いてやろ?駅集合やから駅までバイクで行こ思たんやけど…俺の運転や怖い?」

『の、乗ってもいいの?』

「当たり前やん」

『やったー!バイクなんて乗ったことなかったの!うわー、カップルみたいー!』



俺等カップルやん。
そんな突っ込みはさておき。

バイク乗ったことないんや。名前ちゃんの初めて、俺が貰ったる。
俺のマグザムを見ながらキャーキャーはしゃぐ彼女はやっぱり可愛い。
俺、バイク持ってて正解やった。



「ほな乗って」

『はい!乗ります!』



恐る恐る足掛けに足を載せて俺の後ろに跨る。



『乗ったよ!格好良いなぁバイク!』

「せやろー?出発するで?」

『はーい』

「しっかり掴まっときや」

『!』



名前ちゃんの腕を俺の腰へ持ってきてエンジン始動。
役得ってやつやねんな。



『蔵ー?』

「なにー!?」



風を受けるせいで大声で喋らなアカンけど、それもそれで楽しいなぁ、なんて。



『また今度、乗せてくれる?』

「当たり前やん!いつでも乗りや?今度は海でも行こかー!」

『うん!』



名前ちゃんの腕に力が入った。
こないな事で喜んでくれるやなんて。いつでも乗せたる、いっぱい色んな所行こな。
名前ちゃんが笑てくれるなら、何処でも連れてったるよ。



「はい、到着やで」



そんなこんなであっという間に駅に到着、名前ちゃんは機嫌良さそうにバイクから飛び降りた。
あの密着度が終わってしもたんは名残惜しい。



「なんや、まだ誰も来てへんねんな」

『そうみたいだねー』



現在6時20分。6時半集合やっちゅーのに誰もおらんとかどないやねん。

ジュースでも買うてこよか、なんて話よったら後ろから人の気配。



『き、ギャー!!』

「なっ、何!?名前ちゃんどないしたん!?」

『はよございますぅ』

「財前!?お前何したんや!」

『別に』



誰か来たんかなー思たら名前ちゃんは叫びだして、真後ろには財前が居った。
何が別に、や!



『み、耳……!耳に息かけられた……』

「はぁ?!財前お前何してくれてんねん!」

『ええやないスか減るもんやないし』

「アカン!減るわボケ!」



っちゅうかそういう問題ちゃうわ。いけしゃあしゃあと俺の名前ちゃんにちょっかい出してからに。
俺かてあんまり接近してへんっちゅーのに耳元とか有り得へんねん。



『おー、集まってるやん』

『なんや賑やかやな』

「オサムちゃん!謙也!」

『久しぶりやんなー白石』



俺が財前の胸ぐら掴んでると、謙也とオサムちゃんがやって来た。
謙也はたまに会うけどそれでも1ヶ月ぶりやし、オサムちゃんは高校の時1回会ったきりや。
懐かしい…新鮮や。



「オサムちゃん変わらんなぁ」

『俺を誰やと思てんねん』

「ヤニ中毒のオッサン」

『お前は老けたな』

「……………」



憎まれ口叩くけど、ホンマは中学時代が懐かしくて嬉しいんや。
何も変わっとらんのがまた嬉しい。





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