act.9 (2/3)
『オサムちゃん、ちょっと』
「……なんやねん」
仁王の次は丸井か。
もうアイツとは距離置いたんや。
これ以上何を文句言うことがあんねん。
『名前、迎えに行って』
「………ハァ?言うとる意味よお分からんわ」
『オサムちゃんじゃないと駄目なんだよ』
なんやねん。
なんやねん、なんやねん!
あーせぇこーせぇってお前等命令ばっかりでええ加減ウザイわボケ!
俺がどんな気持ちで名前突き放したと思てるんや。
今日は、テニスなんかやりたない。
それでも立場上顔出さなアカン。立場立場って…教師なんかくそ食らえや。
“お前と話したない”
名前、アイツめっちゃ泣きそうな顔やった。
せやけど…これで良かったんや。
仁王の言う通り、俺はアイツに辛い思いさせるだけやから。
丸井か、仁王、どっちでもええ。幸せにしてもらったらええねん……
『監督』
「、幸村か」
『どうしたんですか?後悔でいっぱい、みたいな顔して』
「別に何もあらへん」
『…仁王と丸井、遅いなぁ。何か知りません?』
「………………」
コイツの見透かした目が嫌いや。
分かってて言ってんねん。名前を取り巻いて何かあったことを。
『あ、噂をすれば』
「は?」
『明日からはちゃんと揃って部活が出来るようにして下さいね』
「幸む――『オサムちゃん!!』」
俺を呼びながら丸井が走って来ると同時にニッコリ笑てテニスコートへ戻ってく幸村。
ホンマアイツ苦手や。
俺は………
「何で俺が行かなアカンのや」
『アイツにはオサムちゃんだけなんだよぃ…』
「…………」
『仁王に何言われたかは知らねーけど…オサムちゃんが名前傷つけてどうすんだよ!』
アイツ、オサムちゃんに相手されなくても冷たくされても頑張るって言ってた。
オサムちゃんが好きだから、オサムちゃんじゃなきゃ駄目だって。
悔しいけど俺じゃ駄目なんだよ。
「……悪かったな、丸井」
『オサムちゃん!』
俺は一目散に走った。
名前が何処に居るかなんか分からんけど。
でも、早く行ってやりたい。
早く行って伝えてやりたい。
お前が好きやって…………
(200806/移動20120211)
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