act.8 (4/4)
「課題忘れるなんてついてない!」
明日提出の課題を机に入れっぱなしだったアタシは門を出た後だったにも関わらず教室へ逆戻り。
面倒臭いな、疲れたー!
教室まであと一歩のところで聞こえてきた会話。
あの声ブン太?
「ブン………」
『好きなくせに強がるん止めんしゃい』
『…別に強がってなんか……』
『見よるこっちが惨めなんじゃ』
『……っ、』
教室のドアに掛けた手を引っ込めた。
仁王君とブン太。
揉めてる………?
なんだか入ってはいけないような雰囲気で、どうしていいか分からなかった。
『名前が好きなくせに何で後押しするんじゃ』
――――え?
どうゆう、意味…?
『それとも好きじゃないんか』
『好き、だけど……』
「―――?」
“好き”
ブン太の声ではっきり告げられた。
ブン太が、アタシを好き…?
『でもアイツが泣くの嫌なんだよ…』
『自分の気持ち隠しても?』
『名前がオサムちゃんと上手くいくの嫌だけど…アイツが泣いてんのはもっと嫌だ、仁王は違うのかよ…』
「………………」
嘘――――
誰か嘘だといって。
ブン太がアタシを好きなんてわけない。
だってブン太は頑張れって言った。友達だって言った。
「アタシ………」
全身の力が抜けてその場に崩れた―――…
(200806/移動20120211)
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