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▼自覚無しの恋 その2


あの人、そう、あの人おかしいです

あの人って?ああ…彼の事?

そう、私をちらちら見てるくせに…指摘したら真っ赤になって

指摘、ねえ…

何か用事があるのかと思ったんです

彼は何て?

お前なんて見てない、って

彼らしいわね…でも、見てるわよねえ…

はい、ほら

微笑んでみたら?

私がですか?

そうよ



あ、ほら真っ赤になったわ

…面白いです
今度こっち見たら、手を振ってみます




すごい、湯気出そうよ

本当…

彼、貴女が好きなのかしら

……さあ…分かりません
でも、彼、面白いですね

ふふ、そうね
私も手を振ってみようかしら

鬼道さんに?

ええ




鬼道さんは余裕ですね

何だか余裕綽々で可愛げが無いわね…

「おい!お前!」
「不動君貴方…冬花さんに何て口の聞き方なの?」
「……雷門は黙ってて貰おうか」
「おい不動、(俺の)雷門に対して何だその態度は」
「ああもう邪魔すんな!」
「何ですか?」
「…何で手なんか振るんだ!」
「別に、何となくです」
「何となくう?」
「不動君嬉しかったでしょう?あんなに赤くなってたもの」
「茹で蛸みたいだったなハハハハ」
「笑うな!」
「嬉しかったですか?」
「はァァ?」
「嬉しかっただろう?」
「うっ…嬉しくなんかねえ!」
「おかしいわね…」
「嬉しくない、ですか」
「な、何だよ」
「……それじゃ、もう手なんか振りませんから」
「えっ!!」
「何故驚く」
「そうね、意外な驚き方ね」
「嬉しくないなら驚く必要も無い筈だが?」
「本当は嬉しいんでしょう?」
「嬉しいんだろう?白状してしまえ」
「……うっ」
「どっちなんですか?」
「うるせ――――っ俺に構うなああァァ!」



「あらあら」
「走って行ってしまったわね」
「不動はからかいがいがあるな」
「本当面白いわね」
「面白いですね」

冬花は楽しそうにくすくす笑って、夏未と鬼道は顔を見合わせ笑い合った






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