▼いつか きっと
「私ね、時々思うの」
「何を」
「もっと大人っぽくなれればいいのに…って」
「確かにお前はうるさいからな」
そう言うとコイツは一瞬悲しそうな顔をした
あ、またやっちまった
俺は俺なりに、コイツを励ましてやろうと思ってるんだけど…あんまり上手くいった事が無い
いつもあんな風に傷つけちゃうんだ
それを謝る事すら出来ない俺は、まだまだガキだなって思う
いつも俺の周りをうろちょろして、何気なく世話を焼いてくれるのだって分かってる
でも照れ臭くてお礼なんて言えないし、嬉しそうな顔なんてもってのほかだ
でもいつも
そのままでいてほしい
今のままの音無が、一番音無らしいんだから
「お茶、飲む？」
「うん」
「あのさ」
「え？」
「別にお前は大人っぽくなくたって良いよ」
「…え…」
「俺別にお前が大人っぽかったらな、って思った事ないし…今のままで良い」
音無が呆気にとられた顔で俺を見てる
…何か変な事言ったかな
いつも通り、思った事を言っただけなんだけど
「何だよ」
「……あり、がと」
「はあ？別に礼なんて言われる事言ってねーけど」
「うん、でも、ありがと」
笑った音無の顔が朗らかで可愛くて、俺は焦った
「？！訳わかんねー、お茶早く持って来いよ！」
ヤバい
なんか顔が熱くなって来た
「変な奴」
音無はえへへ、と笑うとお茶を取りにその場を離れた
こんな調子じゃいつになるか分かんねーな…
いつか好きだって
言いたいのに