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▼拍手文8 豪秋


………おかしい


真っ直ぐ歩けない


頭がぐらぐらする
目が回る…




物凄く、…眠い



休憩時間に入って急激な眠気に襲われた豪炎寺

ベンチにようやくたどり着くと腰を下ろし、ふらつく身体を腕で支えた

風邪気味だからと飲んだ薬が悪かったのだろうか
父の病院で処方して貰った薬…そう言えば眠気を催すものもあった気がする、と豪炎寺はふう…と息を吐く


しかしどうして今頃


朦朧とする頭で必死に眠気の理由を探す



昼食後にちゃんと飲まなかったんだった
忘れてて慌てて、5時限目が終わった時に飲んだのが悪かった…のかな

でも多分間違いない


「朝飲んだ時はこんなに眠くなかったのに…」


再びふ――…と長めに息を吐く



あ―…限界…


「どうしたの?豪炎寺君?具合悪いの?」

大好きな声が聞こえて顔を上げる

「あき…」
「え?」

秋はカッと顔を赤らめた
名前で呼び合うのは2人の時だけと言う約束だからだ

「ど、どうし」
「隣に座って…」
「え?」
「頼むから…」

弱々しい豪炎寺の声に、戸惑いながらも秋はベンチに腰を下ろす

「少しでいいから、頼む…」
「え?」

倒れ込むように
豪炎寺は秋の膝の上に頭を横たえた

「!!!!!」

発火するように秋の顔が赤くなり、同時に「あ――――っ!」と半田と春奈が同時に叫んだ

「ななな、何やってんだよお豪炎寺!」
「カメラカメラ!!お兄ちゃんカメラ!!」
「う、うむ」

春奈の剣幕にカメラを素早く渡す鬼道

「起きろ!豪炎寺!!部活中にいちゃつくのは止めろ!!」
「ちょっとどいて下さい半田先輩!」

豪炎寺を起こそうとする半田を押しのけて春奈はカメラを構えて写真を撮った

「や、止めて音無さん!」

この騒動にわらわらと部員達が秋と豪炎寺の周りに集まって来て、秋は益々顔を赤くしてた

「良く眠ってますけど…」

冬花の言葉に秋が反応して言い訳をする

「何かすごく具合悪そうだったの、隣に座って、って言うから…」
「その通りにしたら、こうなった、と言う訳ね」

夏未が言葉を引き継ぐと、秋はこくこくと懸命に頷く

「こんなに騒いでいるのに起きないとは、よほど眠かったと見える」

鬼道がそう言うと、半田が不満そうに呟いた

「良く皆落ち着いていられるな」
「ま〜いいんじゃない?そのうち起きるだろ?」

円堂がそう言うとみんな納得したのか「そうだな」「休憩休憩」とバラけていく
夏未がくすくすと笑う

「たまには良いんじゃない?」
「そんな…」

秋は困り顔で膝の上ですうすうと寝息を立てる豪炎寺の顔を見詰める
しかし

(たまには、いいかな)

そう思うと優しく微笑んで、豪炎寺の髪をそっと撫でた


カシャ

「今の表情、しっかり頂きました!」


春奈がにこやかに微笑み、秋は声も出せずに固まった






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