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▼拍手文7 鬼夏


鬼夏長編その後





「鬼道くん」

珍しく秋に声を掛けられて、鬼道は振り返った
少し困った表情の秋は小さな声で囁いた

「ちょっといい?」
「?」

休憩中のメンバ―の輪から離れ、秋は鬼道を連れ出す

「夏未さん、ちょっと様子が…具合悪いんじゃないかなと思って」
「なに?」
「そんな事ない、って言うんだけど気になって…取りあえず部室でタオルをたたんで貰っているの」

立ってると何だか危ないような気がして、と秋は心配そうな表情をする

「すまない、気を遣わせたな」
「ううん」
「ちょっと様子を見てくる」
「お願いね」

秋は微笑むと部員達の所に戻って行く
鬼道はマントを翻し部室へと向い、扉を開けた

「有人…くん」
「顔が赤いぞ」
「そうかしら…」

ほんのり赤い顔で、ぽうっと返事をする夏未はふう――…と息を吐く

「木野が知らせてくれた、あまり無理をするな」
「無理なんかしてないわよぅ…」
「……お前、大丈夫か」
「……なぁに?」

鬼道は思わず顔を赤らめた
こんな話し方をする夏未は見た事が無い
舌っ足らずな甘えた声に、「ちょっと待て」と思いながら勝手に心臓が高鳴る

「有人くん?」

立ち上がろうとした夏未がふらりとよろけた
それを咄嗟に支える鬼道
伝わる体温がいつもより高い気がする

「……熱があるぞ」
「…そんなことない…」

支えられた鬼道の腕にもたれ、そんなことないもん…と繰り返す夏未を、たまらず抱き締めてしまう鬼道

「ん〜……」
「夏未」

鬼道は夏未の顎を持ち上げて唇を重ねた

「……」
「…やっぱり、かなり熱いな」
「……ふきんしん、よ」
「全くだな」

そう答えた鬼道はまた、夏未にキスをする

「………ふきんしん、だったら」
「…場寅さんに連絡して迎えに来て貰おう」
「うん……そばにいて?」
「ああ…」

鬼道はロッカーを開け携帯を取り出し場寅に連絡を取る
そしてこの可愛い彼女を椅子に座らせる

「円堂に言ってくるから、待っていろ」
「早く帰ってきてね」
「ああ」


…不謹慎だと言われても、我慢できる筈も無い…

あんな可愛い姿を見せられてはな



そう思いながら部室を出ると、鬼道は急ぎ足で円堂の元へ向かった







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