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▼拍手文4 夏未総受け


春 新入生達が期待と不安を胸に新しい環境へ身を投じる季節…
今日は新入部員達がサッカー部へと揃う第1日目

そんな中マントを靡かせグラウンドへと現れた鬼道が何やら円堂と話し合っている
其処へ豪炎寺、風丸が合流し、難しい顔つきで何事かを話し合っていた

(半)「あれ〜お前達何やってんの?」

半田がやって来て円堂達に声を掛ける

(風)「……今日は新入部員達が揃う日だろ?」
(豪)「いろいろとな確認事項があるんだ」
(半)「何を確認するのさ」
(鬼)「相変わらず能天気な奴だな、半田」
(円)「ルールの事だよ、サッカー部のルール」
(半)「ルール?」
(鬼)「お前まさか忘れているのでは無いだろうな…」

鬼道が額に青筋を浮かべながら半田に詰め寄った
半田は鬼道から目を逸らしながら風丸に助けを求めるが、流石の風丸も眉間にシワを寄せて渋い顔をしている

(半)「あ…思い出した」
(風)「嘘じゃないだろうな」
(鬼)「大体以前一番ルールに厳しかったのはお前だぞ」
(円)「まあいいよ鬼道、あ、1年生達が来たぞ」
(豪)「虎丸が先頭だな」

虎丸が可愛らしい1年生達を引き連れてやって来て挨拶をする

(虎)「お久しぶりです!キャプテン!」
(円)「おお、久しぶり!これから顔合わせするから少し待っててくれ、今マネージャー達も来ると思うから」

マネージャー、と言う言葉を聞いて虎丸の顔が少し引き締まる
しかし1年生達は「マネージャーいるんだあ…」と無邪気に嬉しそうな顔をしている
其処へ3年生と2年生がやって来て、一番最後にマネージャー達が3人、現れた

(円)「夏未は?」
(秋)「ちょっとだけ遅れるから先に始めててって」
(円)「分かった…じゃあ…俺がこの雷門中サッカー部のキャプテン円堂守だ、皆、よくサッカー部に入ってくれたな!これから宜しく頼む!」

と挨拶をし、3年生から1人1人自己紹介を始め、2年生、そして1年生と自己紹介を済ませて行く
そして

(冬)「久遠冬花です、宜しくお願いします」
(円)「宜しくな!」

この春冬花も晴れて雷門中サッカー部の仲間入り、そして監督も久遠監督に変わった

(秋)「3年の木野秋です、よろしくね」
(春)「2年の音無春奈です、皆頑張ってね!」

3人のマネージャを見て1年生達が一瞬ざわつく
サッカー部のマネージャーは他の部活のマネージャーに比べてレベルが高い事で有名なのだ…

(夏)「遅れてごめんなさい」

その場に居た全ての視線が、声のした方へと注がれ、3年生と2年生は表情を和らげ…マネージャー達は嬉しそうな顔をし、1年生達はその言葉通り固まった

(夏)「もう自己紹介は済んだ?」
(円)「ああ、後は夏未だけ」
(夏)「そう、では」

夏未は秋の横に並ぶと、姿勢を正して1年生達を見詰め凛とした声を出した

(夏)「3年の雷門夏未です、宜しくね」

と言うと柔らかく、微笑んだ
その笑みは1年生達を包み、誰もが顔を赤くした

………のを2、3年生達は誰一人見逃さなかった

(円)「じゃあ練習に入るけど、1年生達はこっち来て、あと3年生も」

3年生が1年生を引き連れて離れて行く中、夏未は首を傾げた

(夏)「何の話?」
(秋)「大切な事みたいよ、でも円堂君達に任せておけば大丈夫だから、私達は準備を始めましょ?」

秋の言葉に夏未もにっこりと笑い、頷いた




(染)「で、だ…」
(マ)「これから大切な話をするからよーく聞いててね」
(目)「忘れたりすると大変ですから」
(半)「危ない所だったぜ」
(1年)「???」
(鬼)「皆感じたと思う…雷門の特別なものを」

鬼道の言葉に1年生達が俄に顔を赤くした

(虎)「相変わらず綺麗ですよね…」
(豪)「虎丸、お前はジャパン時代の裏ルールを知っているだろう…今日はそれを再確認するんだ、いいな」
(虎)「ハイ!!」
(鬼)「はっきり言おう、雷門は俺達にとって特別な存在だ」
(風)「憧れの的だ」
(半)「大切な存在だ」
(円)「よって、俺達は夏未をサッカー部皆の夏未として、扱う事にした」

円堂がぐるりと1年生達を見渡すと、豪炎寺が口を開く

(豪)「最初に言っておくが、雷門を呼び捨てに出来るのはキャプテンである円堂のみ…キャプテンである特権とでも考えてくれ、他は俺達と何ら変わる事はない」
(染)「それを踏まえて、雷門の呼び捨ては禁止…苗字、或いはさん付け、ちゃん付け…まあ1年でちゃん付けするヤツはいねーと思うけど」

と染岡が睨みを効かせる

(風)「そして、雷門の写真や動画を携帯で撮影しない事、ただし、練習状況や試合状況を撮影する際にやむを得ず写ってしまった場合は良しとする」

風丸の言葉に目金が大きく頷いた

(マ)「これで、世界戦の時に各国のキャプテンと一悶着あったらしいじゃん?」
(鬼)「まあな…しかし最終的にはアイツらも分かってくれた」

フフフ…と不敵に笑う鬼道を見詰め、1年生達が「各国のキャプテン…」とざわついている

(半)「そして一番大切なのは!」

半田が声を張り上げて、円堂がそれに続いた

(円)「抜け駆けしないこと!」

円堂がにこやかに1年生に話す傍ら、腕組みをした染岡と豪炎寺が威圧感丸出しで、凄んでいる

(鬼)「俺達、雷門中サッカー部の結束は固い…仲間を裏切って自分だけ良い思いをしようと言う輩は此処には相応しくない、いいな…これは自分自身の品格をも問われているのと同じなのだ!分かったか?」
(1年)「は、はい!!!」
(影)「いつも見てるからね…」

いきなり影野の声がして、1年生達はびくッとおののき、きょろきょろと辺りを見回すがどうやら影野を確認できないでいるようだった

(円)「みんな分かったか?」
(1年)「はい!!」

(夏)「お話は終わったかしら?少し時間がかかり過ぎじゃない?」

振り返ると其処には夏未が少し怒った様な表情で立っている

(円)「悪い悪い!今終わったから」
(夏)「ならいいけれど…」

1年生達がぼうっと夏未に見とれているのを察知して、3年生達が声を上げる

(染)「おらあ!ぼやぼやすんな!!」
(半)「ほら1年行くぞ!」
(マ)「準備体操、準備体操」

ぞろぞろと1年生達が移動する中、夏未は円堂達に話し掛ける

(夏)「結局何の話だったの?」
(鬼)「これからの教訓だ」
(風)「心構えと言った所だよ」
(豪)「最初が肝心なんだ」
(円)「これで1年生達も結束が固くなると思うぜ?」
(夏)「そう…」

円堂が「なあ?」と言うと皆一様にうんうんと頷き、夏未はそんな円堂達3年生を見つめる

(円)「じゃあ練習練習っと」

1年生の後を3年生達が歩いて行くのを見送ると、夏未は秋達の所へと戻って行く
その姿をこっそり確認しながら、円堂が呟いた

(円)「夏未も3年生になって大人っぽくなったよな?」
(鬼)「円堂でも分かるのか」
(円)「まーね」
(風)「雰囲気が少し2年生の時と違うもんな」
(目)「僕の情報によると…他の部活の部員にもどうやらファンがいるらしいですよ、たまにサッカー部の練習を覗きに来ています」
(豪)「何だとう…」
(染)「それはヤバいだろうが」
(マ)「勝手に撮影とかされちゃうかもよ」
(目)「僕がなるべく目を光らせておきますよ」
(円)「頼んだぞ目金…」
(影)「僕も影ながら目を光らせるよ」
(鬼)「それは心強いぞ」
(風)「ああ」
(染)「頼んだぜ影野!」
(影)「うん」
(豪)「それでもダメな時はこっそり俺に知らせろ…シュートをミスったフリをしてぶちこんでやるぜ…」
(マ)「ナイスアイディアだね」
(目)「了解です」


そんな会話をしながら、フィールドの集まった3年生達はそっと夏未の方へと視線を送る
他の3人と楽しそうに会話する夏未を見詰め、新たなる結束を確認し胸に刻む3年生達であった





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