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▼拍手文1 夏未総受け


「ん?」

休憩中、不動はある事に気付いた
こちらに向かって歩いて来る夏未の髪に何かがついている
良く見ると、それは小さな葉っぱ
前髪の上の方にくっついているそれに、夏未は気がつかないらしい

「おい」
「え?」

夏未を呼び止めて「そこ」とそっけなく指を指す

「え?」

夏未は不思議そうな顔で前髪に手を伸ばし、葉っぱがついているのに気がついた
「ああ…」と納得しながら、夏未はそれを指先でつまんだ

「ありが」

其処まで言った時、少し強い風が吹いて夏未の手から、葉っぱが飛んだ
そして「痛っ」と言う声と共に夏未が左目を押さえた

「?…どうした?」
「目に砂が…」

ハンカチを取り出し、左目を押さえる夏未
不動はやれやれ、と思いながらも夏未に声を掛ける

「大丈「ああああ!!!不動さんが夏未さんを泣かしてますよ!!!」

虎丸が叫んで休憩中だったメンバー達が一斉に不動を見た!

「貴っ様不動おおおおおおこの外道があああああ」
「正体を現しやがったなあああああこのハゲ!」

と鬼道と佐久間が猛然と突進してくる

「男としてやっちゃいけない事だぞ不動っ!!!」

と円堂が叫び、染岡が

「お前なんかもう仲間じゃねえっ!!」

と吐き捨てながらじりじりと円堂と近寄って来る

「ちょ…っ俺は何にもやってねえ!!」

と言いながらもメンバー達の殺気立つ形相に、不動は逃げ腰だ

「不動逃げるなよ…逃げても逃げ切る事は出来ないぞ…この俺がいる限りな…」

フフフフ、と笑いながら近付いて来る風丸

「そうだよ、いざとなれば動きを封じるなんて簡単なんだからね」

と吹雪が静かに、そして冷ややかに笑った
そしてその隣では豪炎寺がボールを3つ程並べて、いつでもシュートを打てる態勢で身構えている

「何なら其処から動けないように、先にぶち込んでやってもいいんだぜ…」

吹雪のそれとは違って、豪炎寺は熱気をまとい怒りのボルテージは最高潮と言う様子で笑った

「今回ばかりは海の広さを持っても許す事はできねーな!!」
「流石の綱海も堪忍袋の緒が切れる時があるのか…」

綱海の顔をまじまじと眺めながら、土方が呟いた
鬼道と佐久間に取り押さえられた不動がわめく

「俺は何にもやってねえ!」
「不動君、今のうちに土下座するとか何らかの謝罪の意思表示をした方が良いと思うよ…なんせ夏未さんを泣かせるなんて、君は万死に値する行為をしたんだからね」

とヒロトが不動を指差し皆が「そうだ!」と声高に叫んだ

「さて、不動君にはどんな制裁が加えられるんでしょうね」

目金がフフフフ…と笑いながら眼鏡を上げ…

「そうねえ…1週間1人で毎日お風呂掃除」
「それに加えて1週間1人でトイレ掃除」
「あと廊下を毎日雑巾がけ、勿論1人で!!」

秋と春奈と冬花が顔を寄せ合いながら相談を始める

「こうなったら不動さんには同情の余地はないっスね」
「だよな?立向居?」

木暮がそう言いながら立向居を見てぎょっとする

「大変だ!立向居がヤバイ!!」

皆の視線が不動から立向居に注がれ、動きが止まり、綱海がびくっと怯えて一歩後ずさった

その時!

「取れた!!」

夏未が顔を上げて嬉しそうに笑った
左目が赤くなり涙を浮かべながらも、「痛かった…」と呟く

「なーんだ!目にゴミが入ってたのか?夏未」

円堂がそう尋ねると夏未は頷いた

「そうか!それは取れて良かったな」
「大事にならなくて何よりだ」

鬼道と佐久間が不動の身柄を拘束したままで、うんうん、と頷く
メンバー達は何事も無かったかのように、夏未の目のゴミが取れた事を喜び合って、再び和やかに休憩に入り始める

「何だよびっくりしたぜ…立向居」

木暮が冷や汗をかきながら息を吐き、壁山も「そうッスよ」と頷いた

「俺も一瞬記憶が…でも夏未さんの目のゴミが取れて本当に良かったです!」

と爽やかに笑う立向居

不動は「離せよ!」と鬼道と佐久間の腕を引きはがす

「だから言ったろ!」

と不動が鬼道と佐久間を振り返った時には、2人は「いや〜良かった良かった」と笑いながら円堂達の方へと戻っていく所だった

「ちっ…畜生…っ」

わなわなと拳を握り締めながら、不動が歯を食いしばっていると

「どうかした?不動君」

と夏未が心配そうな顔で自分を見詰めている
そんな表情を向けられたのは、初めてではないだろうか
不動の中から、言いたかったいろんな言葉が消えて行く

「……っな、何でも無い…」

不動はちょっと顔を赤らめてスタスタと夏未から離れて水道へと向かう
そんな不動をメンバー達がじーっと羨ましそうに眺めている事も知らずに…





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