▼鬼夏+豪秋1
(夏)「それで、入学式の式典の後、一番最後には部活動紹介があるから…円堂君、お願いね」
(円)「分かった」
(半)「てか、これだけ部員が増えたんだ、そんな事しなくたって新入生の方から来るんじゃねーの?」
(マ)「言えてる」
いつものメンバー達の前で、書類を片手に夏未は腕を組んで半田を睨む
(夏)「サッカー部だけやらないなんて、あり得ません」
(秋)「毎年やって来たんだし…人数増えたからって、やらない訳にはいかないのよ」
ね?と秋が夏未に問いかけると夏未は秋に頷いてみせる
(夏)「円堂君だけじゃ心配だから、鬼道君と豪炎寺君も出て貰おうかしら」
(秋)「あ、賛成」
(円)「心配って…」
(風)「確かに暴走しそうだな」
話を振られた鬼道と豪炎寺は顔を見合わせる
(鬼)「俺は構わないが」
(豪)「俺も」
(円)「鬼道と豪炎寺が出るなら俺出なくていいかな…苦手なんだよな〜大勢の人の前で話すの」
(秋)「え、円堂君はキャプテンなんだから…」
夏未の顔色を窺って、秋がそれとなく諌める
(マ)「いい事考えた!雷門と木野と音無…音無は学年が合わないから雷門と木野だけ、出れば?看板美人マネージャーって事で、新入生を釘付け!」
(半)「いいな!それ!」
(秋・夏未)「ええ?」
(豪)な、何だとおおお!!
(鬼)貴ッッ様あああ!!
ポーカーフェイスを貫きながら、豪炎寺と鬼道は心の中で叫んだ!
怒り心頭でくらりと目眩まで起こした鬼道は豪炎寺に支えられる
その豪炎寺の眉間には三重くらいシワが寄っている
マックスの野郎ッ
危うく声に出してしまうのを辛うじて抑えると、豪炎寺は部室から出ようとした
(壁)「豪炎寺さんトイレっスか?」
壁山の問い掛けに、怒りを抑える事で一杯一杯の豪炎寺はどうしていいか分からず思い切り笑顔になった
(豪)「そうだ!」
ずざっ とメンバー達が一瞬で後退り、豪炎寺はそのまま部室を出た
鬼道も立ち上がると豪炎寺の後を追う
栗松が「鬼ど…」と言いかけるが、鬼道も歯を光らせて、にこやかな笑顔を見せ、一同はさらに後退った
「マックスの野郎何を考えているんだまったく木野は雷門中マネージャーである前に俺の!俺のマネージャーなんだ俺だけの!くそ!こんなに腹が立ったのは初めてだ!木野を新入生の前にだと?看板美人マネージャーだと?ああそうだそうだとも!木野に癒されたいってみんな思うに決まってるサ何て言ったって俺の木野なんだからな!!」
「半田の野郎何がいい考えだこん畜生!雷門が新入生の前に立ったらみんな「ああ、あの綺麗なおねいさんのいるサッカー部に入ろう」って思うに決まってるだろうそんなの動機が不純だし雷門に近づくヤツが増えるだけだし俺が困る!雷門は俺の雷門なんだから!雷門はみんなの雷門であってもみんなの雷門ではなく俺だけの雷門なんだああ!」
うがああーっと叫ぶ鬼道
しかし言葉にし、声に出す事によって落ち着きを取り戻した2人は、顔を見合わせた
(鬼)「何とか、雷門と木野を新入生の前に出すのは避けたいな」
(豪)「同感だ…」
(円)「どうしたんだ鬼道と豪炎寺」
(半)「凄い笑顔だったぜ」
(マ)「あんな風に笑えるんだね」
(壁)「笑顔の練習っスかね」
(栗)「部活動紹介の?でヤンスか?」
(染)「まだ鬼道と豪炎寺が出るって決まってねーだろ?」
(風)「いいじゃないか、円堂、豪炎寺、鬼道で」
(マ)「木野と雷門は?」
(夏)「私達だけが出るのはちょっと…」
(秋)「やっぱり円堂君が出ないとおかしいわよ」
(円)「じゃあ5人で!」
円堂の意見に皆が同意し、頷いた
そんな事になっているとは知らない鬼道と豪炎寺は、眉を寄せて渋い顔つきで話し合っていた
(豪)「しかし鬼道、皆の意見をどうやって覆す?」
(鬼)「そうだな…何か良い案があれば…」
(豪)「何か言うとマックスが突っ込んで来そうだからな」
(鬼)「うむ…しかも決して俺達が嫉妬しているという事を悟らせてはならないからな」
(豪)「理屈では鬼道に適うものは居ないだろう?」
(鬼)「お前の威圧感に勝るものは無いぞ、豪炎寺」
鬼道はふと何かに気付きにやりとした
(鬼)「それより雷門と木野に出ないよう説得した方が早いな…」
(豪)「それだ!」