穏やかな風が窓の開いた部屋に入り込む。
部屋には女性がひとり、長い白髪の髪を緩く風に遊ばせながら、窓の外を見ていた。

「神楽、神楽!」

「…どうした神氷?」

部屋の外から女性の名を呼ぶ青年の声に振り向き応える女性。

「俺と雪を見に行こう!」

「…何故?」

「えっあっそれは…その俺が神楽と一緒に雪が見たいから…です」

「…それならば神明に頼めばいい。わざわざあちらに見に行く必要などあるのか?」

一緒出掛けようと笑顔で誘っていた青年は、女性の言葉にだんだんと困ったような表情へと変化していった。


「…それじゃ、意味ないんだ……神楽と…出掛けたい」

「…」

「ダ…ダメかな?」

「いや、別に構わない」

「ホント!」

「あぁ」

女性の答えに青年は顔を輝かせて喜び、女性に手を差し出した。


「へへっ、じゃ行こう神楽!」

部屋を出て廊下を歩く二人の片手はお互いの手をそっと握っていた。