雨が降る

先程からパラパラと降り始めた雨は今では地面に雨粒を叩きつけ大きな音をさせている
店の軒先では一人の黒髪の青年が雨宿りをしていた

「はぁ…失敗したな」

青年は空を見上げ、止む気配のない雨にため息をついた。青年の足元には大量の買物袋が置かれており、スーパーの安売りのチラシに引かれ、日用品の買い溜めに来たのはいいが雨に降られたようだった

「エリアに…は駄目だろうな…」

青年は手に持った携帯を見つめ、不機嫌であろう同居人の顔を思い浮かべて肩を落とした

しばらくしても止む気配のない雨に、青年はまぁ荷物は濡れても平気なヤツばったりだしなと傘もささず雨の中を走って帰る覚悟をしたその時…

「遅い…」

青年の前に現れたのは、一人の美しい少女
彼女は不機嫌なオーラを纏っていても美しさをそこなわなず、むしろその迫力が増している

「エリア…」

青年は少女の名前を呟き、不思議そうに彼女を見ている

「…何?」

不思議そうに見ている青年の視線に不機嫌さを増した少女

「え、いや、その…迎えに来てくれたの…か?」

慌てて青年は彼女の機嫌がこれ以上悪くならないようにと言葉を選びながら問いかけた

「…………はい」

「え、おわっ………傘?」

少女は青年の問いには答えずに投げ寄越したのは一本の傘

「…ふん」

青年が呆気に取られているうちに青年の足元に置いてあった荷物の半分を持ってスタスタと少女は歩き始めた
慌てて青年は彼女から受けとった傘をさし、彼女を追いかけた

「あ、ちょっと待てって」

青年の制止の声に少女はその場で立ち止まった

「わざわざありがとうな」

「…別に」

彼女に追いついた青年は微笑みながら彼女にお礼を言った
少女は青年から視線を逸らし再び歩き始めた

「あ、ちょ…」

少女のそんな様子に青年は苦笑を零しながら彼女の隣に並んで歩き始めた

雨はそんな二人を優しく包むように雨足を弱めた


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なかみ様宅のセツナさんとエリアさんをお借りしました

セツナさんが嫁に欲しいです←