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2016 / 02 / 02 そうね、いつかね。


「息が白くなったのよ。でも雪にはならなかったわ。」と言った彼女はもう居なかったし、僕の生活の中であり続けたのには生き続けることに対する不安だけだった。遠くでサイレンがして、今日も誰かが暖まろうと思って付けたストーブの火に巻かれて火葬される前に火葬状態で見つかる。便利になりすぎたんだなと思いながらニュースを聞き流す僕はまるでサイコパスみたいだ。あまりにも日常的に人が死んだニュースばっかり聞かされていると嫌になる。気をつけたところで死ぬものは死ぬし、誰かを巻き込んだら迷惑だけれど自分だけで樹海でぽっくり逝けばどうってことないだろうと思う。

「お前って死んでるみたいだよな」とか「人生はもっと明るくさ」とギリギリで生きているんだと主張する友人が代わる代わる僕に挨拶のように言ってくるのだけれどさっぱりわからない。自由に生きようとしている僕に、まるで選択肢を与えてるんだぞって物を言うんだ。まあ僕がただ弄れていて彼らなりの慰めを聞き入れたくないだけなのかもしれないだけなのかもしれないけれど。

そういえば、由里子に久しぶりに会ったんだ。変わらず、ドライな彼女は一生結婚できないだろうなと思ったよ。彼女にそう言うと「結婚なんてする気もないからいいのよ」と目をそらされた。美人なのに勿体無いなというと「美人ぐらい誰でもなろうと思えばなれるのよ」と目を合わせてくれたと思ったら睨まれた。

「僕と付き合った時は結婚を考えた?」と聞くと「それ何十回聞くの?私は結婚願望もないし、貴方は都合の良い同居人兼友人ね」と軽くあしらわれた。

「死ぬなら僕とがいいって言ったのは?」
「あれは、ほんと」

僕の言葉に彼女は少しハッとして目を合せて言葉を続ける。

「そうね、いつかね」
「急に姿を消して、あれは嘘って言うのはなしね」
「約束は守るわ。貴方とはずっと友達よ」
「了解」





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