「――それにしても、エイリアンってのはすげェな…」

かなり興味深い、と走行中のカマロの車内でそう唐突に呟いた観月に、サムは不思議そうな顔をした。
その隣では、ミカエラもサムと同じような表情で首を傾げている。


「なんで?」
「"なんで"ってお前…つい今し方その凄さを見たばっかじゃねェか」

なァカマロ?と観月が後部座席のシートを撫でながら言えば、カマロのカーステレオから陽気な音楽が流れる。
そのカーステレオはアナログ式からデジタル式に変わっており、カマロの内装や外装も真新しい物に変わっていた。

「…まぁ確かに、"おんぼろ"でコレは凄いわよね」
「…ミカエラ」

その時の様子を思い出してかクスクスと笑うミカエラの名前をサムが窘めるように呼べば、ミカエラはごめんなさい、と素直に謝罪の言葉を述べる。

そんな二人とその様子にクスクスと笑う観月を乗せて、カマロは夜の街並みの中を走り抜けて行った。





――それから数分後。
カマロは"立ち入り禁止"と書かれた看板の掛かったフェンスを押し開けて、とある工業地帯の立ち入り禁止区域内の道端で止まった。
観月達が促されるようにカマロから降りて空を見上げれば、大気圏に突入し、大気との摩擦で真っ赤に燃える隕石が4つ、等間隔に並びながら落ちてくる様が目に入る。

バシュン、という音と共に一瞬強く発光して落ちるスピードを加速させ、それぞれがバラバラの場所に落ちていった隕石に、恐怖心よりも好奇心が勝ったらしいサムとミカエラが一番近くに落ちた隕石の元へ向かう。
そんな中、観月はカマロと共にその場に留まった。


《"貴方は""行かないのかい?"》
「…折角あの二人がイイ雰囲気なんだ、邪魔するなんて野暮ってモンだろ?」

継ぎ接ぎのラジオで問うてきたカマロに寄りかかりながら、観月そう言って悪戯っぽく笑う。その答えに心得たようにライトをチカチカと点滅させたカマロに、観月はクスリと笑った。



サムとミカエラが戻って来たのは、それから暫く経ってからの事だった。

「おかえりお二人さん。戻ってすぐで悪いンだが早速移動らしいぜ」

そう言ってニヤニヤと笑いながらカマロに乗り込んだ観月に、サムは何か嫌な物を感じながら運転席に乗り込む。
サムはミカエラが助手席に座った事を確認すると、後部座席で尚もニヤニヤと笑う観月にバックミラー越しに視線を向け、怒ったような表情で口を開いた。

「……ねぇ、ミツキ」
「うん?」
「…ワザと一緒に来なかったでしょ」
「…さァ?何のことやら?」

分からねェなァ、と咎められているにも関わらず、観月はサムの問いを笑いながらのらりくらりと躱していく。


そうこうしている内に、三人を乗せたカマロは酷く人気の無い路地に止まった。




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