「フハハ!」

ジェラートはいつもみたく不敵に笑ってた。あたしはまだ開ききらない目でそれを見てた。脳だって起きてないけど、感情にも反射ってあるんすかね?がっかりっていうのはよくわかった。

「よかったなぁ」
「ハハハ!任せろ!よっし仕事だ!サクサクいってみっか!」

きっと着ていたシャツは昨日腕まくりしていたヤツなんだろうなぁ。今じゃぴったりだよ。そりゃそうか。元よりジェラートのだもんねぇ。

「お!戻ったか!よかったなぁ!」

騒ぎを聞きつけてホル兄さんもソルベとジェラートの部屋を覗きにきた。よかったよかったと喜んでる。そりゃあよかったっすけどぉ。
続々とみんなが集まってきて寝起きの悪いリーダーも姿を表した。いやぁこんな早くに珍しい。だけど多分この人も脳が起きてないんだろ、目を細めたままジェラートの許へいくと昨日したようにジェラートを高い高いしようとわきの下に手をつっこんで持ち上げようとした。
「おいリゾット、起きろテメェ」
ベチンと頭を叩いてジェラートはリーダーに言った。けどリーダーは「でっかくなった感想は?」、「やっぱり見晴らしはいいか?」なんて聞いている。この天然、誰も止められんな。

「フハハハハ」
もう1回ジェラートは笑った。そしてぐるりと見渡して鬼のような笑顔をした。
「しっかしテメェらよくも大笑いしてくれたなぁ!!」
あぁやっぱり覚えているんすね!ひいぁあのスタンドはやめてよ!思わず身構えたあたしの前にジェラートさんはやって来て「ニナは、まぁ置いといてやる」。
「へ?!」
「ホルマジオォォ!よくも投げてくれたなぁぁ!!」
「オレェ!?」
「メローネェ!ギアッチョ!テメェらも同罪だ!」
「オレたちも!?笑っただけじゃねぇか!!てか笑ったならニナのが爆笑だったじゃねぇか!」
「人を売るなんて最低すよ!?あぁ矛先こっちに向けんな、メローネのバカー!!」

起き抜けな体を無理に動かして飛び退いた。メローネにギアッチョはナイフで壁にはりつけられてしまった。この隙に逃げさせていただきましょ!抜き足差し足忍び足、なんて悠長にやってる暇ないからドアをぶち破るように開けた!ホル兄さんも一緒に出てきた!

「ジェラさんちっこい方がかわいかった!!」部屋に向かいながら叫んだら「あと1週間くれぇあのままでもよかったな!」ホル兄さんが答えてくれた。本当すよ!まったくもう!

ぐいっと引っ張られてホル兄さんの部屋に連れ込まれる。うわ、こんな時じゃなかったら嬉しいのに!

「ったくアイツ見境なくなるからなぁ」

バタンとドアを閉めてもたれかかり、はぁ〜と長い息を吐いてホル兄さんがしゃがみ込んだ。
「今度は抱きしめても抑えられそうにないっすね…!」
その横にしゃがみ込んだら、チラッと顔を見られた。

「残念だったか?」

見透かされたように言われた。ふぉぉ!?兄さんエスパー!?

「う、え、ええぇ、いやぁ、あ!?」
「ハッ、暗殺チームでガキんちょは育たねぇよ」
「え、う、いや!でも!」
「素直に喜んでやれよ、しょうがねぇなぁ」

グリグリとあたしの頭を混ぜ合わせてホル兄さんは笑ってた。そうすよね、ジェラートが戻ったんだから、そりゃあ喜ばなければね!でも

「あたしの三ツ星パンケーキが出せなくてがっかりしただけっすよ…」

素直に言えなくて、あたしは膝の上に額をのっけた「それにペンギン隊長を一緒に見てくれる人もいないし」。

グリグリと手を回しながらホル兄さんは
「バーカお前、ペンギン隊長なんて点けときゃみんな見てるぜぇ?」
「は!?」
「隊長、リゾットに似てるよな?」
「知ってるんすか!?」
「誰かつけりゃあみんな見てんだよ」

パンケーキだって焼いてみろ、いつの間にか誰か食ってるぜ、ヒヒヒとホル兄さんが笑った。似てる似てるコレ似てるなぁ。

「なんか、…あたしの家族みたい」
「この家だって似たようなモンだろうが、10人なんて十分大家族だぜ」

ポンポンと頭を叩いてくれた。嬉しいな嬉しいなぁ。あたし以外でもそう思ってたひとがいたなんて。

「ホル兄さんは長男ポジションすね!」
「ニナは末っ子だな」
「ならパードレはリーダーすよ!」
「マードレはプロシュートってか?」
「そうっす!ペッシの教育に必死なマードレと教育には口を出せないパードレっす!」
ギャハハハハと笑ったホル兄さんを見て、あたしはちょっと幸せを感じてしまいました。人の命を搾取しといて幸せなんておこがましいかも知れないけれど、暗殺しか出来ないチームだけど、同じ釜の飯を食ったらってヤツかもしれないっすよ!
ホル兄さんとギャアギャア盛り上がっていたら、背中のドアが静かに開いた。そっと見上げるとニヤリと笑ったジェラートがいた。

「…お話は、終わりか?」
「ジェラさん…!」
「オレは何かなぁ、三男とかかなぁ、あ、ソルベと双子って事なんかなぁ!?ほんわかシルバニアファミリーかぁ!?」
「シルバニアにならうさぎさんポジションをあげますよー!!ついでにソルジェラさんは双子の次男設定っす!!」
「バッカ、ニナ、しゃべってんじゃねぇぇ!!!」

ダンダンダンっとナイフが立て続けに壁に刺さって
「よし、ホルマジオからにしよう。兄さんには敬意を表して選ばせてやるぜ?、1、ナイフで横に10cm。2、ナイフで縦に10cm、3、ナイフで縦横10cm」
「3は10cuっつうんだよ!」
「じゃ、3だね」

昨日のかわいこちゃんはドコへ行ってしまったの!ごめん兄さん助けられない不甲斐ない妹を許しておくれ!!
そろりそろりと後ずさりはじめたら、ジェラートさんは笑顔であたしを見て

「かわいい妹はちゃんと躾なきゃだからなぁ、ま、ニナにゃ世話んなったし3cmにしてやるよ」

ニヤニヤと笑っていった。ダメだ逃げなきゃあたし傷物にされちゃう!!
「助けてパードレェ!!」
やっぱりあたしは部屋を飛び出した!




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