起 借家だけど、はっきりいってこんなボロい一軒家は借り手がついただけラッキーだと思う。だけど暗殺チームが借りているなんてきっと誰も思ってないだろう。私だってこんな田舎のボロい一軒家がアジトだなんて最初しぶった。けど一応人数分には部屋があるからて諭され、だけどソルベとジェラートが一部屋しか使ってないし、メローネがその大量の所持品を勝手に一部屋使って物置にしてしまっているし、私とギアッチョが壁をぶち抜いてしまったから、もう部屋数なんてわからなくなってしまった。それでも私とギアッチョの間にあった壁を壊したことによって私は機嫌がよくなった。だってこれなら回り込まないでもギアッチョに会える。暗殺チームなんて掃き溜めみたいな所で恋愛しちゃってるのも不思議な話だけれど、きっと私の波長と一番あったのがギアッチョで、ギアッチョはなんだかんだ言いながらもイタリア人だったってわけだ。 ダブルサイズのベットに寝転がりながら私は傍らで携帯ゲーム機で狩りを続けていたギアッチョに言う「このサイズいいよね」。 「あぁ!?」 「この部屋のサイズの話。二人で暮らすには十分じゃない?」 「キッチンにバスにリビングつけたら結局でけぇよ、あぁクソッ!」 ミシッとその黒いボディから音がなって、アナログパットがビシッと鳴った。おいおい何台目だよ。 「ギアッチョ牛乳飲んでおいでよ」 「要らねえよ」 「カルシウム重要じゃん」 そのイライラには効くかもよ?言うとやっぱりゲームをベットに叩きつけて、空いた手で私を乱暴に掴んできた。 「まだ昼間だって」 「関係ねぇだろ」 冷たい手が服の中に入り込んで背中のホックが外された時、ギアッチョの唇が私の文句しか出ない唇を塞いだ時、 カチャリ 小さな音がした。 どうせ空気を読まないイルーゾォあたりが入ってきたんだろ、すぐに出てくだろ、思ってギアッチョの首に手を回し足を離れないように絡めた。ギアッチョも構わないで続けてきたし、私もちょうどヤリたかったから、早く出ていかないかな、なんて舌を絡めながら思っていた。けど予想外にドアは開いたままで、また声を発する様子もなく、結局訝しんだギアッチョと私が目を合わせてから、二人で顔を上げてみた。 「…誰?」 そこにいたのは金髪にグリーンの瞳の子供だった。 「ギアッチョの子?にしちゃ髪サラサラね」 「ニナが産んでねぇのに誰が産むんだよ。言っとくが浮気なんてしちゃいねぇからな」 「それはありがと」 チュッと唇を合わせてから視線を子供に戻してみた。3才くらい?かな?着ている服はメローネのシャツみたいだけど、あの変態、今度は子供拾ってきたのか。あんまり目立つことすんなって言ったのに。 「ギアッチョどうする?」 「早くヤリてぇ」 「そっちじゃないから。この子のこと」 ベットの上で話していたら、その子が近寄ってきて私の膝の上に乗って胸に顔を押し当ててきた。 「案外エロいわね」 「乳離れ出来てねぇんじゃねえか?女みるとガキってのは落ち着くんだろ?」 「わかんないけど、あっ!ちょっと!ブラ引っ張んないで!」 ホックが外れていたから肩紐だけだったそれを服の上から引っ張ってきて肩を外れてしまった。気持ち悪いから外してしまおうと腕を抜いたら、今度は遠慮なく小さな手のひらを押し当てて、また顔をうずめてきた「あは!ヤバい!母性本能目覚めそう!」。 ギアッチョが子供の首根っこを引っ張って引き剥がしたけど、子供が名残惜しそうに手を伸ばすから、私はよくわかんなかったけどとりあえずその子を抱いてみた。 「何、情がわいてんだ」 「かわいいじゃん」 「居たら出来ねえだろ」 「ギアッチョがっついてるー」 子供の抱きながらからかって言ったら、 「ギアッチョ、がっついてるー」 子供が真似して言った。ププ、子供にまで言われてんの。ギアッチョが大きく舌打ちしてからベットに胡座をかいたから、私は子供に頬を寄せてグリグリさせてみた。やーほっぺが柔らかーい「アンタかわいいねぇ」。ぱっちりした二重の瞳に白い肌。覗きこむように顔を見た。なんか、似てる気もするんだけどな。思い当たる人間はこんなかわいく無いはずなのよ。だけど、似てるわ。 「アンタどこから来たの?」 敵じゃないわよね。敵ならとっくに私の首をとってるわよね。ギアッチョも子供を前に拷問も殺すわけにも行かずに珍しく困っているらしい。 「アンタ、名前は?」 きょとんとしたまま指をくわえて見上げてくる。大きなグリーンの目がパチパチとまたたいて、その長い睫が揺れている。 「なんか言わなきゃわかんないわよ」 揺さぶってみても、あまり反応がない。本当に困ったな。どうしようか。ギアッチョと目を合わせてみても不機嫌な彼はしかめっ面のままにいる。これはギアッチョも本気で困惑している顔だな。 「ねーぇ、名前ぇ」 教えてよ、また1度揺さぶったら、違う方向から声が届いた「メローネだ」。 「メローネェ?」 「メローネがこんなかわいいわけ…、って、はぁぁ?!」 声のした方向をみてまた声をあげてしまった。でも今度はわかる。リーダーだ!リーダーが、リーダーのあの不思議頭巾を被った黒コートなリーダーが、え、と、でもリーダーって、こんな若かったっけ!? 「敵スタンドだ。メローネがベイビィフェイスを解除した時最初に攻撃をくらい、オレが仕留めたんだが、…軽率だった」 身長はあっているけれど、体の幅がコートとあっていないな、と思ってみていた。多分18くらいだろうか、いや20くらいかな。肌もずいぶんピッチピチ。うらやましい。 「敵スタンドってなんだよ。仕留めてねぇのか」 「いや、仕留めてきた。殺したから解除されるかと思ったんだが、生憎解除はされなかった。スタンドの暴走だとおもいたいがな」 「相手がスタンド使いだったの?」 うちのチームにしちゃずいぶん杜撰な情報収集じゃない。 「いや、相手が雇った用心棒がスタンド使いだったらしい。オレは射程圏内ギリギリにいてすぐに逃げられたが、メローネは」 「この有り様ってか」 情けねぇな、ギアッチョが言った。 「ま、生きて帰っただけでもいいじゃん」 私はメローネをだっこしながら言ってみた「で、記憶は?」 「オレはなんとか脳は助かった」 「メローネは?」 「そんな状態だ。スタンドも発動しないだろう」 自分の指から針を出して見せた。メローネが少し怯えたみたいだった。 「今すべき事は?」 「スタンド使いを殺してしまっているからな。一旦態勢を立て直し、情報収集からだ。オレとメローネはこのまま様子見、プロシュートとペッシ、イルーゾォにあたってもらっている」 「私は?」 「待機と」 そう言って指をさした。 「メローネの子守かよっ!」 ギアッチョが叫んだらやっぱりメローネが私に抱きついてきた。ヤバい、かわいいかもしんない! 「とにかく、頼むぞ」 「ちょっ「わかったわ!」 「情に流されてんじゃねぇ!」 ギアッチョが叫んだら、やっぱりメローネはビクッとした。メローネにも純粋な時代があったのかと思うと複雑だわね。 :::::::::: 「それがメローネェ!?」 ギャハハハハと笑ったジェラートが私からひょいとメローネを取り上げた。 「やぁ!」 小さく悲鳴をあげて私の方に手を伸ばしてる。まだ慣れないらしいけど、私はほっといてみたらジェラートが高くかかげて遊んでいる。 「メローネっぽくねぇな!ホラ」 「うおっ」 ソルベに投げるようにメローネを渡してやっぱりずいぶんと眺めていたけれど、ふいに飽きたように手放した。すぐにメローネは私に帰ってきてやっぱり抱きついてきた。 「で、リゾットが、そーなっていると!」 やっぱりギャハハと笑って指差した。リーダーは不快そうに眉を寄せたけど、きっと自分の失態もあったからか黙ってた。若いリーダーってなんかかわいいから黙ってた。 やがてしてからプロシュートにペッシ、イルーゾォも帰ってきて、リーダーと何かを相談してる。その間にホルマジオも帰ってきた。私に抱きついてたメローネを一瞥し 「ガキ作ったの?」 メローネの頬をつつきながら言った。 「ギアッチョの子に見える?」 「天パじゃねぇな」 「間違ってもオレの子にしたくねぇよ」 「前の彼氏の子?」 「私にどうしても産ませたいの?メローネよ」 「メローネェ!?」 一瞬間を置いたけど、やっぱりギャハハと笑って持ち上げて、高くに放るようにしたら、「やぁぁ!」叫んで今度は本気で涙目になっていった。このメローネ、本気でかわいいかもしれない。 |