キューピットさま


空がオレンジに染まる時間帯、どういうことだか最近仲良くしている友人の家に招かれた。
友人の部屋の机の上にはなぜかひらがなと数字の書かれた紙が赤色鉛筆と一緒においてある。
飲み物を取りにいっていた友人が帰ってき、今からする事を聞くが濁される。

「なあ、教えてくれって気になるじゃん」

「まあまあ、ほら色鉛筆もって絶対放すなよ」

そういい俺に色鉛筆を握らせると俺の握ってる手の上からぎゅっと包むように握る友人。
なぜか友人は緊張しているらしく手が汗ばんでおり気持ち悪い。
うへっと思い手を離そうとするが、友人の力には勝てずあえなく断念する。

「ほら、今から俺の言うことを復唱しろよ」

「だから、何するんだよ!!」

俺が怒鳴っても気にしている様子をみせない友人、そしてなぜか気にするなと笑いかけてくる友人に悪寒がした。
怖い、そう本能的に感じたのだ。

「いくぞ、キューピット様キューピット様来て下さったらお返事ください」

「うう…、キューピットさま?キューピット様来て下さったらお返事ください、か?」

友人の声に言葉に怯えながらも友人の放った言葉を復唱する。
シーンと静まり返る部屋、何も起こらない。

「痛っ!」

ぎりっと俺の手を握る友人の手の力が強まる。
恐る恐る友人の顔を見ると、まるで何かに取り憑かれたかのように、にやあと俺の顔を見ていて。
目が合う。



「ひぃっ!」



怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
逃げようともがくがしっかりと友人は俺の手を握っていて逃げられない。
助けてくれ、そういおうにもあまりの恐怖で声が出ない。
必死に手を振り払おうとしていると友人から放たれる言葉に俺は固まる。


「キューピット様が来てくれた」

「キューピット様は教えてくれた」

「キューピット様が言う事は正しい」

「キューピット様ありがとうございます」


紙には俺が手を動かしたせいでぐしゃぐしゃと線が書かれていて。
赤色鉛筆で書かれた線は『いえす』に丸がされており、そしてもう一つの言葉が出来上がっていた。
たまたまにしては出来すぎていて。

「俺もいってやる、ずっと一緒だからな」

「い、きたくないっ…」

そして俺は死を覚悟した。
だってもう一つの丸は『    』だったから。



ベッドの下の僕参加作品。
ありがとうございました!



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