大体嫌な予感はしとってん。朝、オサムちゃんからこないなモン押し付けられたときから。謙也とか小春ちゃんなら笑ってノってくれるて信じててんけど、こいつらだけは。


「名前、また部室に無駄なモン持ってきよったな」
「ホンマ、この狭い部室を更に狭くしてどないするつもりっすか」


早う何とかせんと思て、HR終わって超特急で部室に来たものの、私を迎えたんは冷徹な視線と盛大な溜め息が二つ。

そ、そないに私ばっか責めんでもええやん、やって‥


『オサムちゃんがいきなり私に会うなり笹渡してきてんもん!』
「ああ〜、オサムちゃんならやりかねへんなぁ」


ナイスフォロー謙也、あんたホンマええ奴やわ。1コケシあげたいくらい。

けどこれウソみたいなホンマな話で、今朝校門に入った瞬間にオサムちゃんと会うたかと思たら、いきなり笹を渡された。高さ2mくらいは軽く超えそうなくらいの立派なもんで、オサムちゃんが何がしたいかは何となく分かってまう私も嫌やねんけど。


『ハッハー、オサムちゃんが少年少女の願い事叶えさせたるわー‥言うてこれ押し付けて去っていきよってん』
「あの人はホンマ‥後でクレームつけとかなアカンな」


理由に納得してくれたんか、蔵ノ介が両腕組みながらもう一遍溜め息。けど、もう一つの溜め息は相変わらずご不満のご様子で。


「んもぉ〜光ぅ!名前ちゃんが悪いんちゃうねんから、そないカリカリせんと〜」


ああ、小春ちゃんったら何て天使なんやろ。やっぱこの部のオアシス言うたら小春ちゃんしか居らんわ。

そないうちの部のオアシスの手元には、色とりどりの折り紙。小春ちゃんは仕事早うてホンマ憧れてまう。


「できた!どや、小春!」
「おお、ユウジはん流石やなぁ」
「ユウジそれ何や?!」
「金太郎さん、これは吹き流し言うねんでぇ」


手先が器用なユウジがぱぱっと飾りを作れば、石田くんや金ちゃんが気持ちええくらいのリアクション。何やろ、どっかの家族の日常風景見とるみたいで和むわぁ。


「よっしゃ、ほなみんなで七夕の飾り付けしよか!」


納得してからはやけに乗り気な蔵ノ介の一声で、一層賑やかになる部室。約1名はまだブツブツ言うとるけど‥まぁ、後でご機嫌とっとこか。










うちらの部室に笹が来た!

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