「マジマジあちーっ!」



今日は快晴の真夏日

今朝、お天気お姉さんが楽しそうに言ってたけど、そんな嬉しくもない

初夏なんだから、もうちょっと過ごしやすい気温で十分だろうに



「うっひゃ〜、ミミズ干からびてるぅ〜っ」



無言でイライラする私の隣で、ジローははしゃいでいる

今日は、まだ眠くないみたい

楽しそうにベランダを見ながら、うちわで首元をぱたぱたと扇いでいる



『ジロー、眠くないの?』

「寝ると余計暑くなるC!」



つまり、彼なりに体温調節してるってことですか

案外まともなこと考えてるのか、ただ単に暑くて寝付けないのかは定かじゃない

きっと冷房の効いた部屋に入ったら、すぐさま寝るだろう

そんな想像をしたら、行き場のないイライラも少し治まってきた



「名前は暑くない〜?」

『暑くてイライラしてる』

「あははっ、どうりで」



ジローが、私の眉間をうちわの先でつん、とつつく

そのとき初めて、自分が眉をしかめていることに気付いた

そんな私に笑いかけるジローを見てると、つられて笑いそうになるから不思議



『ジロー、アイス食べたい』

「それいい!俺も食いてーっ」

『帰り食べにいこっか』



今日は水曜日

男子テニス部はオフだから、一緒に帰れる日

週に一度の放課後デートの日でもある



「いくいく!マジマジ楽しみだC〜!」



ジローがそんな嬉しそうに笑うから、言い出した私も嬉しくなる

気付いたら、さっきまでのイライラはとっくに何処かに消えていた

変わってないはずの太陽の日射しや教室内の温度

それでも私のイライラをどこかに吹き飛ばしていったのは、ジローの笑顔だってことに気付いた


















(お礼は、アイスでいいかな)



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