私が、好きだと言えば

貴方は優しい瞳で、こう返す



「俺も好きやで」



私が、楽しいと笑えば

貴方は、優しく笑ってこう言う



「ホンマやな、楽しい」



じゃあ、私が

私がもし、嫌いだと言ったら

貴方はどうするんだろう



『嫌い、大っ嫌い』



ぽつり呟いた言葉は宙に消えて

だけど、侑士の目は私を映してるから

その耳には確かに届いたんだろう



「‥‥名前、」



眉尻を下げて、困ったような顔

それから、ゆっくりと腕を伸ばして

私の頭の上に、大きくて温かい掌を置く



「嘘つきは泥棒の始まりやで」

『嘘、じゃなかったら?』

「そない悲しい顔できへんよ」



侑士の人差し指が、私のおでこをつついて

自分の眉間に皺が寄ってたことに気付く

「嫌い」って言われたらどうしよう、って

内心思ってたこと、顔に出たみたい



「それにな、名前が俺んこと嫌いでも」

「俺はずっと、名前んこと好きやからええねん」



いつの間にか侑士の手が頬に移動して

その掌の温かさに、侑士の優しさに

私の涙腺は、簡単に刺激されてしまう



「名前、泣かんでええねんで?」

『だっ、て‥ごめん、侑士‥』

「俺が、名前んこと嫌い言うと思たんか?」

『‥思わない』

「せやろ?全く‥、名前はアホやなぁ」



頬から後頭部に移動した侑士の手は

私を侑士の方へ引き寄せて

そのまま優しく頭を撫でてくれる



『‥侑士、好き』



私が、貴方の胸元でそう言ったなら



「好きやで、名前」



貴方は、とても甘いキスをくれる


















(私だって、同じだもん)



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