『あ、財前先輩』 今日、これから雪降ったりするんやろか。やって、いっつも図書委員の仕事を部活や言うてサボる財前先輩が久々に顔出しよった。雪降るには随分季節外れやけど。 『何かあったんですか?』 「別に、委員が委員の仕事して何がアカンねん」 『いや、アカンどころか嬉しいです』 「‥‥‥‥」 本来3人居るはずの当番。うちと財前先輩ともう一人、2年の鈴木先輩。今日はたまたま鈴木先輩が用事ある言うて先に帰ってもうたから、財前先輩が来てくれへんかったら一人で仕事やらなアカンことになっててん。ホンマ、神様仏様財前様! 神様に感謝しとったら、先輩が薄目で睨んできた。あ、絶対めんどくさい奴やって思われとるな今。 「‥で?」 『はい?』 「仕事、何したらええの」 『え、まさか先輩‥今まで当番したこと』 「あるわけないやろ」 や、そこサラッと言うとこちゃいますよ先輩。もう委員になって最低でも半年経っとるはずなんやけど。一応先輩なんやから、そんなん知っとると思うたんに。 『とりあえず‥パソコンで来た人数カウントしたりとか』 「え、そんだけ?」 『ちゃいますよ、あと貸し出すときにこのカード書いてもろて‥』 「ほな俺カウント係やったるわ」 『‥うん、まぁええですけど』 財前先輩っていつもめんどくさそうな顔しとるから、こんなんは想定内。そない先輩が当番に来てくれはったっちゅうだけでも御の字やんな。 せやけど、ホンマ何で今日に限って来てくれたんやろ。今まで1回も来ぇへんかった先輩がピンポイントに来たっちゅう偶然が、うちん中で何や偶然と思えへんねん。 『‥あのー、先輩?』 「何や、仕事せぇ仕事」 『借りる人居てませんやん!』 「図書室では静かにしてください」 『‥すんません、せやけど』 めっちゃ気になんねんもん、勝手に気持ちが高ぶってまうのはしゃあないでしょ。なんて心ん中で言い訳してみたり。 パソコンの前で肘つきながら堂々とゲームやっとらんで、少しはこっち見たらどないですか先輩。 『何で今日来てくれたんです?いつもは来ぇへんのに』 「‥たまたま、」 『ホンマに?』 「さっき昇降口で鈴木見かけてん」 これっぽっちも表情変えんと、パソコンのディスプレイを見つめたまんま呟く先輩。 ‥っちゅーことは、うちが一人で当番しとること知って来てくれたんや。興味なさそな顔して意外と優しいとこあるんやなぁ先輩。アカン、顔もええだけに少し優しゅうされただけで惚れてまいそうや‥って、うちどんだけ惚れっぽいねん。 「言うとくけど」 『え、何です?』 「勝手に自惚れんときや」 『‥‥!』 「‥ま、どうでもええけど」 心ん中読まれたんかと思てちょお驚いた。さっきからパソコンしか見てへんはずやのに何でうちのこと分かんねん。ホンマよう分からん先輩やわ。 せやけど、めんどくさそうな口振りにしては珍しく口許が笑うてて、先輩がどないな顔して笑うんか真正面から見たいって思たら心臓がドキドキした。 もし、彼が先輩だったら (何アホ面してんねん)(誰のせいですの‥) ――― 財前の後輩だったら。 敬語じゃない財前って原作でも見なくて全っ然イメージがつかないので、果たしてこれが財前なのかと言われても自信がありません。口調が本当に難しい‥っ!!これ、ちゃんと財前になってますか‥ね‥?← ただ財前に「静かにしてください」って言わせたかったんです、すみません!!笑 back |