「ま、しゃあないっすわ」


目の前には腕組んで溜め息をついとる光。私は必死に頭下げて謝るしかできひん。ああもうそないな鋭い目で睨まんといて。

こうなってしもたんは、ついさっきの部室での出来事が原因。


『う、うちかて最初は見るつもりなかってんで!謙也のピ●チュウのパンツなんか』
「名前先輩、別にそこまで聞いとらんから」


うちが部活終えて部室に入ったら、中で謙也が着替えとった。まぁ男の裸なんて光以外は興味あらへんし、うちは別にええねんけどヘタレな謙也がめっちゃ真っ赤な顔で体を隠したがんねん。そないな可愛え反応されたら服剥ぎたくもなるやんか。そんで謙也のピカ●ュウのパンツがお目見えした瞬間、運悪く光が部室に入ってきたっちゅうわけや。あ、別にパンツが好きなんとちゃうで。

それから光がめっちゃ機嫌悪い。うちが悪いねん、そうなんやけどそない怒らんでもええんちゃうかな。て思うたら光がまた溜め息ついた。幸せ逃げんで。


「‥先輩、俺が何で怒っとるか分かっとります?」
『え、せやから謙也のピカチ●ウのパンツ』
「アホ、もうそっから離れろや」


とうとう敬語さえ諦めよったでコイツ。なんて考えとったら急に光に右手首を掴まれた。光がちょお切なそうな顔しとるんは気のせいやろか。


「俺には興味ないんすか」
『え、ひ、光?』
「他の男にはがっつきよるくせに俺にはそーゆーのないんすか」


掴まれた右手を、光の頬に導かれる。うちの耳が確かやったら今のって光、ヤキモチやいとるっちゅうことやんな?平然と言いよるからどう解釈すりゃええんか分からんわ、もう。

ただ、光の頬っぺたがちょお熱くなったんだけはうちにも分かった。


『ちょ、ちょお待ち、光』
「何すか色情魔先輩」
『それ、うちに襲え言うてんの?』
「どないな思考回路やねん」


鼻で笑いよったけど、光がホンの少し笑顔になったん見逃さんかったで。あないなヘタレにまでヤキモチ妬いてくれるなんてホンマ可愛えやっちゃ。

うちが男の裸好きみたいな流れになっとるけど、まぁそこはあながち外れとらんし目ぇつぶっとこか。ただし光限定やけどな。


『光の裸なんて恥ずかしくて見れるかいな〜』
「とか言いながら人のボタン外すんやめてくれます?」
『え、見せてくれるんちゃうの?』
「‥名前先輩にだけっすわ」










君だけに
(何やただのチェックか)(そこ残念がるとこちゃいますから)



―――

ピ●チュウ=スピードスター!!


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