1日目


一人暮らしを初めて初の連休となる5月の始め。
世の中は明日からGWで大学生である私も例に漏れずしばらく大学が休みである。
ちなみにGW中の予定は……バイトバイトバイトである。
地元から離れ一人暮らし1年目の私には、とにかくお金が必要だ。実家からの仕送りなどはもちろん無い

あ、別に家族との仲が悪い訳ではなく。うちは放任主義で、私が一人暮らしを決めた時も死ぬ前には頼ってきなさいよのスタンスであった。

とにかく今年のGWはバイトに明け暮れる!
友人達にはそろそろ新しい恋人の1人もつくりなさいと同情されたが、今の私に恋人なんてつくる資格もないし正直ほしいとも思ってない。
なので世間的には休日でも私の朝は早い。


「……はい?」


春とは言え朝方はまだ少し寒さの方が勝っている5月、冬物よりは薄い掛け布団にくるまっていた私の隣には見たことのない男性の寝顔が……
人間、心底驚くとリアクションを取ることすら忘れるらしい。
まず最初に思ったのは、まだ寝ぼけているのかな?と目を擦って、何度か瞬きをして……それでも目の前にいる男の人が消える気配はない。
思わずじーっと見つめてしまって気づいた

この人眼鏡かけたまま寝てる……


「いや、突っ込むのそこじゃないっ」
「……ん」


やはり動揺はしていたらしく訳の分からないセルフツッコミを入れてたら隣で眠っていた男の人がうっすらと目を開いた。

おぉ、イケメンだ……

切れ長で涼しげな深い紫色の瞳に筋の通った鼻。そう言えばこんな至近距離で見つめていても毛穴など目立たないし、艶のある黒髪は寝起きでボザボサのはずなのに彼の雰囲気も相まってそれすら色っぽく感じる。


「いま、何時や……」
「え、あーと……朝の7時半かな……」
「あーまだ寝れる時間や……な」


耳に心地よい低い声は寝起きのせいで掠れて、なんか……もはや色っぽいと言うよりた、ただただエロい


「お、おはようございます…?」
「誰や自分?」


数分……いや実際はそんなに経ってないだろうけど見つめあった私たちは弾かれたように我に返り飛び上がった。


「なんやねん自分……女の子が男のベッド入ったらあかんやろ」
「いやいやいや、これ私のベッドだから。つまり入ってきたのはあなたでしょ」
「はぁ?何言って……ここどこや」
「私の部屋です」
「お嬢さん誰や」
「苗字名前です」
「俺は忍足侑士や」
「あ、それはそれはご丁寧にどーも……」
「いえいえこちらこそ……………………いや、おかしいやろ」


お互い何でか自己紹介が始まって、何でか頭を下げていたがオシタリユーシくんが静かに突っ込んだことによって私も冷静になった。
やっぱりこんな状況でお互いかなり動揺していたらしい

というか、こんなアンニュイな関西弁初めて聞いたよ……

頭を上げつつ目の前にいる忍足くんを改めて見る。やはり整った顔立ちで普通なら見知らぬ異性が隣で寝てたらパニックになるか、すぐに通報するところだけど彼自身の空気なのかとても落ち着いている雰囲気のおかげで動揺はしても相手を観察するくらいには冷静でいられている。

そこでようやく私は未だにお互いベッドに座っている状況に気づき


「えっと…とりあえずここに居てもしょうがないし、リビング行きません?」
「あ。あぁ…せやな。いつまでもお嬢さんの寝室におるんもまずいしな」


出来れば私は寝巻きを着替えてしまいたいところなんだけど、流石に知らない男の人がいる手前そんなことも出来ないので近くにかけてあったカーディガンを羽織ったのだった。



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