優しさと嘘の報い


※峯×大吾前提、バッドエンド
大吾さんに異物挿入
もはや夢小説ではありません


「堂島さん、あなたにしか話せないことなの。相談に乗ってくれませんか?」

悲痛な表情を浮かべて彼の関心を引いて、自宅へと誘い込んだ。大吾さんの優しさを利用することに、罪悪感なんて微塵もなかった。


『唯子がよければ、堂島大吾って男に会ってみないか?昔から知ってる奴なんだ』

桐生さんが彼を紹介してくれたのが、半年前のことだ。日頃から、異性との出会いがないとぼやいていた私と話が合うと思ったんだろう。それに、恋人どころか女友達の気配もない大吾さんを心配していたらしい。恋愛に無頓着そうな桐生さんが気を遣ってくれたことが嬉しかったし、桐生さんの知っている人なら安心という気持ちもあって、大吾さんに会ってみることにした。

その日は、簡単な自己紹介と食事をして終わった。短い時間だったけど、私は大吾さんの飾らない人柄に惹かれて、彼のことをもっと知りたくなった。身分不相応であることはわかっていた。それに、大吾さん自身も桐生さんの手前、断るわけにいかず仕方なく会ってくれたんだろうと思っていた。

数日後に大吾さんからデートのお誘いがあって、私は歓喜した。それからは一緒に買い物に行ったり映画を観に行ったり、純粋にお出かけを楽しむようになった。私から誘うこともあったし、大吾さんが車で迎えに来てくれたこともあった。付き合おうと告白されたわけじゃないし、体の関係もないけど、彼も私を好いてくれている。そう思っていたのに。


温かい紅茶と、用意しておいたケーキを振る舞った後で、部屋の照明を全て消した。すぐに大吾さんが椅子から立ち上がって、狼狽える様子が伝わってきた。

「何も見えなくてドキドキするね」
「田中さん?どこに…」
「ここよ。危ないからじっとして」

停電か何かと勘違いしたのか、指示通りに動かなくなった大吾さんをソファベッドのある方向に突き飛ばした。

「うっ…!なんだ!?一体…」

自分よりずっと大きな体は、横から押すと驚くほど簡単に倒れた。
手元のリモコンで照明のスイッチを入れると、オレンジ色の仄かな光が室内を照らす。その明かりを頼りに、横たわった大吾さんのベルトを外して、スラックスを一気に下げた。もともとジャケットを脱いでいたので、上半身はシャツ、下半身はボクサーパンツという格好になった。
体の上に乗った私を見て、大吾さんはわけがわからないという顔をしていた。

「堂島さん…いえ、大吾さん。あなたがいけないから、こういうことになるの」
「何を言ってるんだ?俺は、君に何も…」
「何もしてないって言いたいの?人を振り回しておいて、よくそんな台詞を吐けるわね」

ぼんやりとした明かりの中で、大吾さんがはっと息を飲んだのがわかった。

「あなたに恋人がいることは最近知った。ずっと隠していたなんて、本当に最低」
「…すまない」


大吾さんには本命の恋人がいた。交際を公にできないのは、その人物が同性で、尚且つ彼の腹心の部下だから。その人物の名は峯義孝といった。半信半疑だった私は、大吾さんに内緒で峯さんに会って、ようやく確信を得た。決定的な証拠があったわけじゃない。だけど、大吾さんと長い時間を共有し、単なる仕事のパートナー以上の信頼を得ている人物だと感じ取った。

とても敵う相手ではないと悟って、私は気が狂いそうだった。これまで一緒に過ごした時間はなんだったのかと叫びたかった。
たぶん、私は大吾さんにとって暇つぶしでしかなかった。でも、だからといって、いたずらに希望を持たせて辛い思いをさせる必要なんてないはずだ。私には大吾さんの行動が全く理解できなかった。


「私の気持ちに気づいてたでしょ?それなのにどうして?」
「それは…田中さんを気に入ったからだ」
「何を言ってるの?そんなこと、恋人がいるのにおかしいと思わないの?」
「俺の無責任な行動で、君を傷つけた。本当に申し訳ないと」
「やめて!!」

私がそのことに触れなければ、ずっと恋人の存在を隠すつもりだったくせに。そんな上辺だけの謝罪なんて聞きたくなかった。

「本気で恋したのはあなたが初めて」
「なのになんで男が好きなのよ!」
「私、あなたを許さない…!」

苛立ちから声が大きくなって、最後は自然と涙が流れた。そんな私を見て再び謝ろうとする大吾さんの唇を塞いだ。前歯に舌を這わせると、そこがすんなり開かれて、大吾さんの舌が絡みついてくる。こんな形でも、好きな人の体温を感じられることが幸せだった。


「お尻は峯さんで、こっちは私。これなら浮気じゃないでしょ?」
「…わかった。気の済むようにしてくれ」

自分でも何を言っているのかわからなかった。滅茶苦茶な理論で気持ちを納得させ、大吾さんの同意も得た私は、これまでにないくらい興奮していた。
ボクサーパンツを脱がせて、半勃起状態になったそれを両手で包み込む。握っていると徐々に大きさが増していって、それが生理的な反応だとわかっていても、嬉しく感じてしまう。

「田中さん、」
「だめ、唯子って呼んで」

大きくなったものを口に含むと、大吾さんは苦しそうに顔を歪めた。少しずつ唾液を絡ませて、わざと音を立てて出し入れしてみる。先端に軽く歯を立てると、さすがに刺激が強かったようで、腰がびくっと動いた。

「あぁ…唯子、そんなっ…」
「どんな気分?私のこと幻滅した?」
「……」
「こんな下品な女、嫌いだって言ってよ」
「…嫌いじゃ、ない」

悪者になりたくないだけのくせに。そう心の中で吐き捨てる。好きじゃないけど嫌いじゃない。それなら、私はあなたにとって何なのかと問い詰めたかった。


ローションの容器を傾けると、予想以上に多くの量が飛び出して、とろとろした液体がソファベッドに広がった。お尻に冷たい感触を覚えた大吾さんが、不安そうに私を見る。こぼれたローションを指ですくって、大吾さんの奥まった場所へ押し当てた。

「お、おい…!話が違う!」
「好きな人に気持ちよくなって欲しいの。当たり前の感情でしょ」

大吾さんは脚を閉じようとしたけど、間に私が陣取っているせいで失敗に終わった。

「うっ…ぁあ!」
「感じてる大吾さんの顔、すごく興奮する」
「唯子…ッ」

人並みに性交経験はあっても、男の人の肛門に指を入れたことなんてなくて、まさに手探りの状態だった。それでも、私のぎこちない動きに容易に反応してくれて、彼を開発してくれたであろう恋人の峯さんに感謝した。

「前立腺ってここ?」
「くっ…!や、やめ、」
「女の私にはわからないから、教えて。ここが気持ちいいの?」

恥ずかしい部分をさらけ出して抵抗する気もなくしたようで、大吾さんは力なく頷いた。

「うあっ!あっ…!」
「大吾さん、かわいい。女の子みたい」

大吾さんの性器は完全に立ち上がって、先端に先走りが滲んでいた。私は出し入れしていた指を抜いて、そこに跨った。先走りの液体を塗りつけようと秘部に密着させると、そこがびしょびしょに濡れているのを感じた。


「いやらしい大吾さんを見てたら、私も欲しくなっちゃった。気持ちよくしてくれる?」
「唯子っ…!」

制止を求める大吾さんの声を聞きながら、徐々に腰を沈めていく。

「あぁっ!大吾さんっ」

待ち望んでいた衝撃が、体を貫く。呼吸が落ち着くのを待ってから、大吾さんのお腹に手をついて、緩やかに腰を上下させた。

「はぁっ…一つになれて嬉しい」
「くっ、だめだ、こんなっ」

快感を得るような激しい動きをしていないのに、意識が飛びそうなくらい気持ちいい。甘く痺れるような感覚がお腹の中に広がって、私は身を震わせた。

「ぁ、あぁっ…!」

大吾さんを押し倒しているという視覚的な興奮も手伝って、驚くほど早く達してしまった。繋がったまま、大吾さんの胸に上半身を倒す。

「唯子…、平気か?」
「んっ…大吾さんのが気持ちよくて、すぐいっちゃった」

無理矢理されているのに私の心配なんかして、この人はどこまでお人好しなんだろう。それとも、大吾さんもこの状況を楽しんでいるんだろうか。

再び腰を動かし始めると、今度は大吾さんが突き上げるように腰を揺らした。膣口付近の最も狭いところを通るたびに、大吾さんの声が大きくなる気がした。

「大吾さんっ!すごい気持ちいい!」
「はあ、唯子…!俺も…っ」

大吾さんの荒い息遣いが、絶頂が迫っていることを伺わせる。

「唯子!もう、いきそうだ」
「大吾さん、中に出して」
「だめだっ!頼む、退いてくれ!」
「お願い、言うとおりにして」

やがて、呻き声と同時に大吾さんのものが張り詰めて、大きく脈打った。





「大吾さん…愛してる」
「唯子」

初めてだった。こんなに誰かを好きになったことも、感情を抑えられなくなったことも。大吾さんの恋人になれなくても、友達として親密な関係を築けたかもしれない。だけど、私が全て台無しにしてしまった。

「私を気に入ったなら、峯さんと別れて」
「…すまない。それはできない」

叶わない恋なら、せめて綺麗な終わりを迎えたかった。大吾さんの気持ちを無視して酷いことをしたのに、私を呼ぶ声はいつもと同じで優しくて、胸がつぶれそうになる。

「だったら…体の関係でいいの」
「唯子がそうしたいなら、俺は構わない」

一番欲しいものは、体なんかじゃなかった。もう取り返しがつかないのだと思うと、涙が溢れて止まらなかった。それを拭おうと差し出された手に指を絡ませて、厚い胸板に顔を押し当てて泣いた。


2018.5.21
タイトル:腹を空かせた夢喰い

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