捧げ物 | ナノ


「ノヴァちゃんって・・・ネコっぽいな」

突然、ぽつりと天津が呟くように言った。


〜Whinsical Cat?〜



「・・・は?」

読書をしていたノヴァは、本から顔を上げて天津を見る。

何を言っているんだこいつは、という視線がぐさりと刺さった。

冷たい視線に天津は一瞬たじろいだが、話を聞いてすらくれなかった昔よりはマシだと思い直す。

「ネコだと?私が?」

「なんとなーく思っただけ、だけどよ。
考えてみれば、所々似てるなーって・・・」


天津の言葉に、ノヴァは興味が無いと言わんばかりに本に視線を戻す。

しかし少しは気になっているのか、時折目線だけで天津を見た。

やがて、

「おい天津。」

「ん?どうした?」

「私とネコのどこが似ているんだ?」

「あ?
・・・あー、さっきの話か」

どう説明したものかと考える。

言ったら怒るかもなー、と思いながら天津は口を開いた。

「ほら、ネコって気まぐれで、自分のやりたいことだけやって、自分だけで生きていけるような生き物じゃねえか。
そんな辺りがノヴァちゃんと似てるよなー、とか思ったんだ」

「・・・・・・・・・」


天津の話を、何の相槌もうつことなくノヴァは黙って聞いていた。


話が終わった後もじっと自分を見ている同居人に、天津は戸惑う。

こうも見つめられると、何というか―――正直、恥ずかしい。


「甘えて欲しいのか?」

「は・・・?」

ノヴァは唐突に言い、天津が何かを言う前に立ち上がって近寄っていく。



そして、天津の膝に頭を乗せて寝転がった。

―――所謂、膝枕というやつである。

「!!?
お、おいノヴァちゃんっ・・・!?」

「これで満足か?
ネコは甘えるものだろう」

「は!?
あ、いや確かにそうだけどなそうじゃなくて!」

「・・・? 何を言ってるんだお前は」


ノヴァは寝転がったまま天津を見上げ、言葉を紡ぐ。


天津は動揺と嬉しさと気恥ずかしさで思考停止直前だった。

間違いなく自分の顔が真っ赤になっている等と考える余裕も無い。


そんな脳内で一言、

(可愛すぎるじゃねえかよ、畜生っ・・・!!)


―――ずっと懐かなかった飼い猫に懐かれた気分だと、思った。


-END?-


→後書き




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