「あれ、日吉じゃん。何か飲むの?」
お風呂あがり、冷たい飲み物が欲しくなって自販機に向かったら先客がいた。
そのまま隣に並んだらため息吐かれたんだけど!?そんなあからさまに嫌そうな態度とらないの!先輩傷ついちゃうぞ!ってうそ泣きしたら無視された。さよか。
「べつに…ただのポカリですよ」
「私もポカリにしようかなー」
「真似しないでください」
「マネシナイデクダサイ」
「…」
自販機にお金をいれながらまねっこしたら横から伸びてきた指にスッとボタンを押された。ガシャン。
「ちょっとお!アクエリじゃんこれ!」
「おしるこにしなかっただけ良かったと思ってください」
「ポカリの気分だったのにー!」
確かにおしるこよりはマシだけど!?
ねえ日吉のポカリと交換してよ、と隣を見上げたらなんと日吉のほっぺにまつ毛がついてるじゃないですか。
こういうのって言った方がいいのか言わない方がいいのかけっこう迷うところなんだよね…。
「何見てんですか」
ま、日吉だし言ってもいいか!
「ほっぺにまつ毛ついてるよ」
「まつ毛?」
右手でほっぺをなぞる日吉。「そっちじゃなくて」「こっちですか」「もうちょい上」「とれましたか」「まだ!」んー!とれそうでとれないのがもどかしい!
「私とってあげるからかがんで!ほら!」
右手をぱたぱたさせて合図をしたら、意外と素直にかがんでくれた。いつもこれくらい素直ならもっとモテるだろうにねえ。
「余計なお世話ですよ」
「ゲッ 口に出てた?」
「素直じゃなくてすみませんね」
舌打ちをするな、舌打ちを。
「まあまあ、このまま目つむっててね」
自販機の隣にあるイスにアクエリを置いてから、日吉の顔を両手でつつんで、そのままほっぺにあるまつ毛をピッ!弾き飛ばしてミッション終了!
なんだけど、ついでなので怒られるまでこのほっぺを堪能させてもらおう。髪の毛がサラサラなのは見れば分かるけど、ほっぺもこんなにもちもちだとは…。テニスやって紫外線を浴びまくってるはずなのになんでこんなにもちもちなんだろう。日焼け止め塗ってるの見たことないけどなあ。
「…これ以上は金とりますよ」
「もちもちのほっぺがあ」
離れていってしまった。普通に立たれるとほっぺまで簡単に手が届かない。グッバイモチモチほっぺ…。
「もう戻りますんで」
「はーい、明日も応援してるからね!」
「それはどうも」
さて私も部屋に戻るか、ってアクエリを探したら、イスの上にあったのはアクエリじゃなくてポカリだった。
「日吉ー!」
かわいいやつめ!
まったくもう、って足取り軽やかに部屋に戻る私は、次の日ジュースを噴くことになる未来が待っているとは思ってもみないのであった。
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「おいおいジュース買いに来たらあれ日吉と氷帝の先輩マネージャーだったよな…!?かがんで…キスしてたよな…!??」