放課後


「かったる〜ぃ。」


沖田は居残りをしながら呟いた。
「あ〜ぁ。今日は久しぶりにはじめ君と勝負出来ると思ったのに」
そう思いながら、目の前のプリントそっちのけで、机につぶすよにうに頭をのせる。
(大体、土方さんは陰険なんだよ。
僕の可愛い出来心を本気にするから、ついこっちも応戦したくなっちゃう。
あ〜ぁ
あんな大人になりたくな〜い。)

と嘆きながらやる気無く窓の外を眺めると。


(はじめ君だ。遠目からでも目立つな…。
初めてはじめ君見たのって入学式のごった返した所で、胸から上の部分だけしか見えなかったけど。
そんじゃ其処らの可愛子と言うカテゴリーではなくて、口から言葉を発するのを忘れて、見いるくらいの美形で。
男の子と知った時のがっかり具合といったら、笑えるぐらいだもん)

「総司」

プリントを眺めながら斎藤のことを思っていると名前を呼ばれそちらに、視線を向ける。剣道の袴姿の斎藤がいた。
「はじめ君」
「まだ終わらんか。」
「うん?まぁね。」
斎藤はため息をつく。
「この分では今日の練習は見込みそうに無いな。」
沖田は拗ねた表情をする。
「着替えてくる。」
「え〜」
「「え」では無い。大体あんたが真面目にしていればこのような事にならなかったはずだが。」
沖田の不貞腐れた表情が際立って斎藤は軽く息を吐く。

「30分待つ、それでも来ないなら。今日は帰らせて貰う。」

用件を伝えると斎藤は来た道を帰る。
なんだかんだ、沖田のわがままに付き合う斎藤は沖田の扱いに慣れている。
教師や上級生からも沖田には手を焼いて、結果的に斎藤が世話役を任される事が多い。
実のところそれは沖田の狙いでもある。

(はじめ君が僕の気持ちに気づくのが早いか。はじめ君が僕を好きなってくれるのが早いか。それとも僕の理性が駄目になっちゃうのが先か。
どれも微妙だなぁ。でも僕、気に入ったものは手段を選ばないから。はじめ君が嫌がっても手放す気はさらさら無いだけどね。早く僕の所に堕ちて来てよはじめ君)



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