「―――あら、来てたの?」




隊舎を出ようとしたところで、あたしは門の前に立っていた鮮やかな金髪に、瞠目する。




「お迎えにあがりました」



と、仕事の顔をして頭を下げられる。


こう言うのをされると、今の自分の地位を実感する。




「――――松本隊長」

「いいのよ」




差し出された白いそれと、持っていた荷物を交換して、金戔花の花が掘られた―――三番隊の副官章を着けた吉良に苦笑する。




「吉良、気なんか使わないで」

「プライベートの時だけなら、有効ですよ。その言葉」



荷物を持ち直して、困ったように笑う吉良。

あいつがいなくなって、吉良はいつもそんな笑い方しかしなくなった。昔はもっと、綺麗に笑ってたのに。






――――何もかも、変わった。




手に持つ白いそれ――隊長羽織を羽織る。


背に追うのは、あいつと同じ【三】の字。




「昨日まではあたしも副隊長だったんだから、多少の勝手は許してよね」






――――今日、あたしは三番隊の隊長になった。






20120801