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002




他校だけど、私の先輩の話をしよう。
あ、「私の」と言うのはカップルとかそう言うのじゃないことは理解してほしい。



糸目で胡散臭くて性格悪くて妖怪なんて呼ばれたりしてる先輩の話だ。












出会ったのは私が7月――――4か月くらいまえのこと。


その先輩は友だちの学校のバスケ部の主将だった。



その友だちもバスケ部だったんだけどすごいサボるから面倒見に来てくれって友だちの幼馴染み(も友だちなんだけど)に言われて。
まあ同じ東京だし県外に行けわけじゃないからって2つ返事で了承したのが始まりだ。




「部外者は立入禁止やねんけど」



困ったように頬をかく先輩。だけどこっちだってちゃんと許可は取ってきてる。幼馴染みちゃんから話通されてないのか。

少し、すこーしイラっときてサンダルのファスナーを下ろして素足のまま体育館に足を踏み入れる。サンダルの日焼けがくっきりだけど気にしない。



「桃井ちゃんに呼ばれてきた人間なんですがマネージャーの助っ人としてきました。話は通ってないんですかね」



桃井――――友だちの幼馴染みの名前だ。
私はちゃんとお願いされてきてるのに、部外者扱いされたら困るわ。

私の苛立ちに気づいてか否か、先輩は急に顔を変えて奥で動いていた桃井ちゃんを呼ぶ。




「あ!すーちゃん!」

「やほー、桃井ちゃん」



ひらひら、手を振ると桃井ちゃんは可愛らしい笑顔で先輩の隣に立った。




「すーちゃん…栖条さんです。青峰くんと同じ中学で、最近忙しくて青峰くんの方に手が回らなくなっちゃって…今日はマネージャーの人が少ないので急遽助っ人で。監督には話してたんですけど、すみません」

「栖条です」




どうだ、なんて目で先輩を見れば、複雑そうに顔を引きつらせた。



「…今吉や」

「よろしくお願いします」





これが、先輩――――今吉先輩との出会いだ。





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