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11.息と、思考が止まった。
















「倉田若さん、今日の昼は何?」

「唐揚げ入りサラダパスタ。そっちは?」

「お好み焼き風オムカツ」



机をくっつけて、何も言わず互いの弁当をつつくのが当たり前になった今日この頃。

やば、オムカツまじ美味しい。臨也ママ尊敬だわ…。



「てかさ、折原」

「何?」

「その、フルネーム呼びやめない?」

「え、今更?」

「今更」



わかちゃん、と呼ばれていたから違和感があるのもあるけどまずフルネームはないでしょフルネームは。

平和島ですらシズちゃんなのに私はフルネームって何。


なーんか、気に入らない。



「え、何て呼ばれたいの? 俺の女とか自意識過剰なこと思ってるの? はっ! 何てキチガイなんだろうねえ!好きだよそう言うとこ!」

「自過剰なんはお前だ折原!フルネーム呼びは煩わしいつってんだよ!」



教室ん中で誤解を生むようなこと叫んでんじゃないよ!




「お前、私がお前の女気取ってるように見えるか?ああ?正座させるぞ

「…………」

「文句あるか?」

「ないよ。パスタ美味しい」

「ならよろしい。オムカツ絶品だわ」




ちょ、ちょっと焦った!どうしよう、バレてないよね?大丈夫よね?



平然装ってオムカツ食べてるけど内心汗だらだらだ。

いや、もう臨也の傍にいたいけど、いたらいたで墓穴掘りそうで怖い。




「ねえ、君たち恋人すっ飛ばして夫婦になったの?」

「「違うから」」



近くで食べていた岸谷が前と似たような疑問をぶつけられた。やだなあ…夫婦とか。夫婦とか!



「でも夫婦になったら臨也が尻に敷かれるのかな?」



可笑しそうに笑う岸谷に対して臨也が眉間に皺を寄せた。

あ、目に見えてわかる不機嫌ぶりは珍しい。



「亭主関白貫くけど」

「それ根底からひっくり返してやるけど」

「…」

「何か文句ある?」



文句なんて言わせるか。

少なくとも“ここ”の折原に負ける予定は、ない。



「でも、」

「?」

「わかちゃんに勝てる気がしないのは事実かなあ」

「!」



















11.息と、思考が止まった。



「なんてね」

「……」



前言撤回。

臨也には今も昔も関係なく勝てる気がしない。


呼び方が同じなんて反則だ。







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