異動から数日がたちました。
(帰りたい、戻りたい)
私は彼、リヴァイ兵長に慣れるという日は一生こないのではないかと思う。
ここ数日でわかったことは、彼は無口と言うことくらいかもしれない。
静かな部屋。
書類のめくる音とペンの音のみが響いている。
ちら、と横を見ればリヴァイ兵長が眉間の皺を濃くして書類に目を通している
歳の割に、若い顔。
黙って居れば凜とした顔つきに落ちる女は少なくないだろう。
(騙されてはだめよ!彼は怖いし難しい人なんだから!)
「さっきからなんだ」
「ひっ!は、はい?」
「人の顔をじろじろ見やがって」
「すみません…」
すぐに目を離し自分の書類に目を落とす
(声も、低い)
男の人だものね、と納得しつつも話し掛けられた事にびくびくしてしまう
「ちっ、おい。喉が渇いた」
「(ひぃ!舌打ち!!)は、はい。コーヒーでよろしいですか?」
「あぁ。」
これ以上彼の機嫌を悪くさせるわけにはいけない!と勢いよく立ち上がる。
それがいけなかった。
「あぁ!!」
机の上に重ねた書類が雪崩落ちていく。部屋に舞い散ってそこらじゅうに散らばってしまった
「………」
(終わったわ。私、終わったわよ人生)
しゃがんで急いで紙を掻き集めると、がたっと椅子の音が聞こえた。きっとリヴァイ兵長が立ち上がったのだ。この部屋には私と彼しか居ないのだから。
(怒られる…)
「聞いた話だが…」
「あ、あの…」
リヴァイ兵長は床に落ちた紙を数枚拾ってくれた。
そして私に渡す。
「お前は役に立つ奴だと言われたから俺の班にしたつもりだったが」
私は兵長を見上げながら受け取る
「残念だ」
「――‐っ」
「書類を出してくる。片付いたら今日はもう帰れ。俺を待つ必要は無い」
兵長は自分の机から数枚の書類を取り静かに部屋を出た
パタン、とドアの音が響く。
私は立ち上がれずただそこに座り込んでいた
(呆れ、られた)
ぽたりと流れた涙は紙にしみ込み、惨めな自分の姿が窓ガラスに映った
怒られるよりも辛いこと
(私は、バカだ。)
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