「どこまで行ったんだ?」
全員が上を見る。
「にしても…リアさんすごい速かったですね」
「リアしか兵長の補佐はつとまんねぇよ」
「私達、まだまだって感じさせられるわ」
「雨降ってきたから早く中入りたいんだがな」
「はぁ?何言ってるのよ、こんなに晴れてるのに」
「さっき水が落ちてきたんだよ!」
空は嫌なくらいに晴天だ。
オルオの発言に皆はため息を吐き、エレンはまた上を見た
**********
「ん、ふっ、」
どういう事だ。
目の前に兵長の顔、顔、顔。
あぁ、まつ毛長いとか唇柔らかいとかそんな事を考えてる暇なんてない。だって
(し、しぬ…!!!)
喉は兵長の手で押さえられたままだ。唇はふさがれ中に入ってくる彼の舌が厭らしく音を立てながら私の口を犯す
(さ、酸素!酸素!!)
力を振り絞り兵長の唇を噛む。
するとゆっくり兵長は離れた
「いってぇな」
「っはぁ、はぁ!し、死ぬかと!!」
首から手も離れて私はズルズルと座り込む
しばし沈黙。
私の荒い呼吸だけが聞こえる。この心臓のドクドクはキスに対してなのか酸素不足だったからかわからない
「何イラついてんだよ。お前らしくない」
「兵長こそ……イライラしてるじゃないですか。更年期ですか?」
「バカいうな」
「はぁ…」
なんでこんな事したんだろ。
浮気ですよ?なんて言い掛けてやめた。私が盗み聞きしてたのばれてしまうから。
「私、失恋しちゃいました」
「………相手は誰だ」
「秘密です」
「…そうか」
ぽん、と頭に重み。
兵長が頭を撫でてくれた重みだ。
またじわっと涙が出る
(また優しく、する)
手を払ってしまえばいいなんて思うのにその優しさに甘えてしまう
「兵長は、幸せになってくださいね」
大丈夫。相手は私の大好きな親友だ。きっと二人は幸せになれる。そう思ったのに。
「いや……、俺も振られたからな」
「え??」
「お前と一緒だ」
「そんな嘘、いらないですから」
「なんで俺が嘘をつく必要があるんだ」
「だ、だって好きだって、ペトラに―‐」
はっ!として口を押さえた。
おそるおそる兵長の顔を見ればあのキレた目とぶつかる
「お前…」
「ひっ!す、すみません!別に盗み聞きしたくてしたわけではなくて!たまたま通りかかって!」
「…………」
「うぅ……すみません…まさか告白してるなんて、思わなくて…」
「告白、だと…?」
「好きだって言ってたじゃないですか」
「………」
「だ、大丈夫ですよ?私も誰にも言いませんから!」
うまく笑えただろうか。
いつも通りの笑顔で。
「お前、なんか勘違いしているな」
「え?」
「そういう事か。だから、嫌い、な」
ふむ、と一人納得している兵長。私はわからないまま口をへの字に曲げた。
「そういう事かってなんですか…」
さっきと違い少し楽しそうな兵長。
口の端を少しだけ上げて笑っている。
「つまり、お前は失恋してないって事だ」
「え?」
きゃぁあああ!!と甲高い叫び声が聞こえて全員が顔を見合わせた
「リアの声よね?」
「行ってみるか」
カチャリカチャリと立体起動を付け直し一気に飛び立った
****************
「あの…どういう状況ですか?」
ペトラは首を傾げて二人を見る
目の前には膝を抱えて耳を真っ赤にしているリアとその隣に腕を組んで立っているリヴァイが居た。
「最初から詳しく話してやろう」
「まっ!ダメです兵長!やめてください!」
リアは顔を勢い良く上げてリヴァイの足にしがみついた
「嫌いな人間に頼み込むのか?」
「あ、あれはその…!!」
にやにや笑う兵長。
周りはわからずに皆で首を傾げる
「兵長、ちゃんと説明をお願いします」
エレンが困ったように聞けば兵長が口の端を上げて答えた
「つまりこいつは俺の女になったって事だ」
衝撃的な告白
(つぎに叫んだのはペトラの番だった)
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