先に行ったエレン君を追い掛けたとき人影を見つけた。
見つけなかったら良かったと感じたのは人影が誰だか確認できた時だ。
(あ、)
古城の裏。立体機動装置のベルトを直している兵長。
その隣にはペトラが居た
二人で何か話しているらしい。
声は聞きにくい。
話を聞くのは悪いと思う心と反対に体は音を消してまた一歩近づいている。
(なに話してるんだろ…)
壁にそって体をつける。
耳だけは会話に集中させて。
「―ですか?」
「だったらなんだ」
「今の言葉、嘘じゃないですよね!」
少し興奮気味のペトラの声がよく聞こえる
「きちんと言ってください」
(なにを…?)
どくりどくりと心臓が鳴る。
血が体を凄い早さで巡っている。こんなに緊張したのは初めて壁外に行ったときくらいだ。あ、でも兵長の班に異動になったときも緊張したけど。
(盗み聞きなんて…よくない、よね)
やっぱりやめよう。なんだか不安な気持ちが押し寄せてくる。
足を一歩前に出したときだ。
「好きだ」
兵長の声だった。
目が自分でもわかるくらい開いた。胸の前に置いた手が反応するように強く握り締められる。
(すき……?)
「この事は口外するな。わかったな」
「はい!もちろんです、兵長!」
(そうなんだ……)
ギチギチと胸がきしむ
(そう……なの……)
涙は流さなかった。負けた気がするから。
足を踏み出す。早くここから居なくならなくては。
後ろから聞こえる2人の声。
幸せを掴んだ私の大好きな2人の声だ。
痛む心
(あぁ、あぁ、そうなんだ)
(なんだ、)
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