リヴァイ班もついに人数が増えて、その中にはペトラも居た。
「本当に光栄だわ!」
「私も嬉しいよ」
キラキラと輝く笑顔。私が最初に配属されたときにはこんな顔できなかったな。
ペトラの荷物を一緒に運ぶ。
重たい荷物のせいで腕が痺れそうだった。
「あ、兵長!」
反対側から歩いてくる兵長。
ペトラの呼び声に気付いたのか兵長がこちらを向いた
「すげぇ荷物だな」
少し眉間に皺を寄せた兵長。
運んでいる箱の上を見て埃があるのを見たのだろう
「終わったら掃除しろよ」
「はい!」
ペトラはすぐに兵長の後を追って、私も続いた
**************
仕事を始めて数時間。
私はモヤモヤしていた。
「……」
「兵長、できました!」
「あぁ」
「紅茶飲まれますか?」
「あぁ」
ペトラは凄く社交的なんだと思う。
兵長に凄く興味があるのか、よく話し掛けていた
それを見てなんだか………
(もや?むか??)
なんとも言えない気持ちになるのだ。
「リアも紅茶どうぞ」
「あ、ありがとう」
しかもよく気がつく。
(………今日、兵長とあんまり話せてない…)
ずっと二人だったから話す事は多かった。
それに、二人とも無言でもその雰囲気が好きだった。
騒がしくなった事に嬉しさと寂しさを感じると、ため息が零れてしまった。
「リア」
「は、はい」
「書類を出しに行ってくる。付き合え」
「―‐はいっ」
私は兵長から書類の束を受け取って後に続く。
(嬉しい…)
「変な顔するな」
「へ、変って…そんな」
長い廊下。
誰も居なく静かだ
「…今日、兵長とあまりお話できていなかったので、嬉しいんです」
下を向いて、なるべくこの緩んだ口元が見えないように資料を抱き締めた
「そうか」
兵長の顔は見えないけど声は優しく感じた。
(あ、モヤモヤしてない)
そういえばもうあのモヤモヤは居なくなったようだ。
「そういえば、兵長」
「なんだ」
「以前人から聞いたんですが、兵長が私を推薦してくださったって本当ですか?」
「……………」
ちらりと細い目がこちらを向いた
「私、団長からって聞いたんですけど…」
「………」
「兵長から直々なんてあり得ないですよね」
「…………」
兵長は口を開かない。
どうしたのだろうかと顔を覗き込めば兵長の手が私の顔を掴んだ
「むふぁっ」
「お前に期待をしているから推薦したまでだ。バカな事考えてる暇あるなら紅茶の入れ方でも練習するんだな」
「う…、ふぁい、」
手が離れるとまた兵長と目が合う
「アホ面」
「酷いです」
笑ってしまう。
彼は私の質問にきちんと答えてくれた。
「私、兵長の班で良かったです」
一人で持てるはずの資料。
それをわざわざ私を呼んで一緒に居る時間をつくってくれた、なんて自分勝手な解釈だ。
(でもそうだったら本当に嬉しい)
この時、私は自分の気持ちに気付いたけれど、今が心地いいため気付かないふりをした。
心情の変化と女心
(あぁ、提出するのがもったいない)
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