夜の会話
「リヴァイさん、はいりました」
「あぁ。こっちにこい」
赤い頬。
濡れた髪。
風呂から上がったサラは言われた通り十分にあったまったのだろう、体からはほかほかと湯気が出ていた。
「ちゃんと30数えたのか」
「はいっ」
「そうか」
おとなしく自分のもとに来るサラの肩からかけられたタオルを取り、サラをベットに座らせる。リヴァイもベットの端に座りタオルをサラの頭にかけた
細い髪。
丁寧にタオルで水気を取っていく
「リヴァイさん、わたしいつ兵士になれますか」
「1人で髪を乾かせるようになったらだな」
「むぅ…」
難しいですね、と下を向くサラ
「急ぐ必要はねぇ。それより壁外に居たときの事を話せ」
そう。彼女は今だにその事について黙秘を貫いている
「お前はあの巨人が運んできた果物を食っていた事はわかった。あの巨人を母と呼んでいたことも聞いた。だったらいつお前の母親は巨人になった」
「………」
「いつ、町の人間は居なくなった」
「………」
「話さない限り兵士にはなれねぇよ」
タオルを取り髪を整えてやる
「……………」
顔を覗き込む
さっと目を反らされた
「(はぁ…)終わりだ。ガキはクソして早く寝ろ」
「お休みなさい…」
もぞもぞと布団を移動し肩まで布団をかぶる。
それを見届けてリヴァイは部屋の電気を消した。
机の上のランプだけを照らす。
「リヴァイさん、寝ないの?」
布団からサラの声が聞こえてきてリヴァイは視線だけを向けた。
「仕事がまだある。お前は早く寝ろ」
「……はい」
暫くした時だ。
静まり返った部屋にサラの声が響く
「巨人は、人間を襲うんですか?」
「……寝ろと言っただろ」
「リヴァイさんが寝るときに寝ます」
「馬鹿なこと言ってないで寝ろ」
「ママは、私を襲っていません」
「……」
「なぜ私は、1人だったんで、しょうか」
揺れた声。
不安と悲しさが混ざった声だった。
「………」
「私は、1人、異質だったのでしょうか」
「……よくそんな難しい言葉知っているな」
「リヴァイさんが貸してくれる本に書いてありました」
そうか、と小さく返しリヴァイはランプを消した。
真っ暗な部屋だったが長く暮らしている部屋だ。問題なくベットまでたどり着く
「…寝るんですか?」
「どこかのガキが寝ないからな」
煩くて仕事もできねぇ、と伝えればサラは寝返りを打ちこちらを向いた
「お休みなさい」
「あぁ」
少しして、やっとサラは目を瞑った
(ちいせぇな)
暗やみに慣れた目が小さなサラの顔を映し出す
実際の年齢よりも若く、子どもに見えた。
一番の成長期にろくに栄養が取れず、きっと睡眠も取れていなかったからだろう。
今だに細い四肢が目にとまる
隣から小さいな寝息が聞こえ始めるとリヴァイはそれを確認して静かにベットから出た。
少し肌寒く上着を羽織りランプを灯す。
今日中にこの書類を終わらさなければ、とリヴァイはため息をついてペンを走らせた。
夜の会話
(聞いたよリヴァイ!サラの髪を乾かしてあげてるんだって!?君にも優しい所があるんだね!)
(うるせぇクソ眼鏡。風邪なんかひかれたら迷惑だろうが)

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