スパルタ?
あれから数日がたったがなんらかわりが無いサラ
(本当にただの人間だ)
最初こそ困惑していたが、飯を食べる量も増えたし、今は静かに文字を書く練習をしている
「リヴァイさん、みてください」
「あぁ。」
まるで学校のようだと思った。
自分がいくつかの字を書いてやりそれに習ってサラが書く
出来上がれば見せにきては直してやるの繰り返しだ。
「(基本は大丈夫だな…)次はこれをやれ」
「はい」
楽しいのだろうか。サラは笑顔で受け取った
(一から教えるのも悪くない)
最初こそ面倒だと思ったが、サラはなかなか物覚えがいいようだ。そつなくこなしている
(あとは食い方と、掃除のしかた――‐)
なにより煩くない。
泣きもしないし、無駄な話もしないのだ。
(話し方、もだな)
教える事はたくさんある。
時間がかかるがいつかここを出るときに必要な最低限の知識は教え込みたい。
そんなことを考えていると、ぐぅ、と何とも可愛らしい音がした
「飯にするか…」
俺が立ち上がればサラも立ち上がる
廊下に出ればいつもより少し暖かい気がした。
「サラ」
「はい」
花でも咲いていたのだろうか。
サラが立ち止まったため声をかける。サラは小走りでこちらに来て、いつものように俺の一歩ななめ後ろについた。
歩幅が違うためサラはいつも少し小走りだ。
別に俺も合わせようとはしていない。
「サラ、何が食いたい」
「リヴァイさんと同じもの」
「またそれか」
彼女には自分の意志が無いのだろうか。いつもこの答えだ。
食堂に着けば数人の兵士がすでに食事をしていた。
食事をもらい適当に空いている席に座る。
「フォークの持ち方が違う」
「?」
「こうだって言っただろう。犬食いすんじゃねぇ」
「はい…」
食事の時だけは小さな返事だ。
多分お腹が空いているのに好きに食べられなくて嫌なのだろう。
「手も使うなよ」
「はい」
でも最初に比べたらかなり良くなっている。はじめは手で食べようとしていたのだから
「子育ては順調か?」
「……ふざけるな」
「ほぉんにひは」
後ろから声を掛けられた。
低い声の主はミケだ。
「サラ、口に物を入れて話すな」
「まるで母親だな。隣、いいかな?」
サラの隣を指差せば、それに気付いたサラは首を縦に振った。
「ずいぶん小さいな」
「あぁ。まだ10歳らしい」
「そうか…」
「だが、教育されて居なかったのか、字はおろか話し方もなってない」
リヴァイはお茶を口に含んだ
「サラはいちから教育が必要だ」
「お前のような目付きにならないか心配だよ」
パンを口に含む。
隣を見ればフォークで豆を口に運ぶサラ
バンッ!!!
「!」
いきなりリヴァイが机を叩いた。
サラの肩が大きく揺れる。ミケも細い目を一瞬大きく開けた
「犬食いはやめろ。二度目だ。」
「リ、リヴァイ…まだ子どもだ…」
「そんなもん関係ねぇ。次は無い。わかったな」
ごくん、と飲み込むとサラはすぐにリヴァイの方を向いて口を開いた
「はいっ」
スパルタ?
(愛情、と言うことにしておこう)

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