審議の中の真実とは
両手を後ろにまわさせる。
か細い手首には何重にも紐が巻かれていた。
「入れ」
重たい扉が開いた。
目の前にはいかにも偉そうなひげを生やした男が座っている
「座れ」
小さな体を押せばそのまま倒れるように床に膝をついた
腕の間に支柱が刺さるのをサラは静かに見ている
「ずいぶん、小さいね」
目の前の偉そうな男はまずそう言った
話し合いはサラが発言する隙を与えないかのように進んでいく
「だが、こいつは壁外で生きていたんだろ!?あんな所で生きていたなら何かある!!」
「それに関して、本人は何もしていないようです」
「こんな報告だけしか聞き取れていないくせに何を言うんだ!」
「無理やりにでも聞き出すべきだ」
「子どもに手荒な真似はしたくない」
「どちらにせよ、壁外で暮らしていた人間だ。訳ありに違いないだろう」
サラは何も言わずにただその会話を聞いていた
「我々調査兵団は彼女の保護を求めます」
「ふざけるなエルヴィン!!我々は彼女から情報を聞き出した後早急に―――‐」
「わ、たしは」
「「!!」」
甲高い声。
いままで口を開かなかったサラの声だ。
「わたしは、にんげんです」
真っすぐな目だった。
(……こいつ)
リヴァイは横顔のサラしか見えなかったが、その目にはなにか強い意志のような物が感じられた。
「わたしは、なにも、できません」
全員の視線がサラに突き刺さる。しかしサラは前を向き続けた。
しん、と静まり返った室内。
「……俺が、管理する」
「え…」
今まで腕を組んでいたリヴァイがひらりと柵を越えサラのもとまで歩いてくる。
「もし変な真似をしたら、俺がすぐこいつを処分する」
サラの前髪を掴んで持ち上げれば、痛みから眉間に皺を寄せたサラと目が合う
「異論は認めねぇ」
********************
「サラ!大丈夫だったかい?怖かっただろ?」
ハンジがサラに抱きつく
「…………」
「しかし良かった。君の身の保障はこれで確定したよ」
「まさかリヴァイがあんな事言なんてねー」
「うるせぇ」
ソファーにサラを座らせる
「リヴァイが世話をするなら何も問題はないだろう」
「………ちっ」
「もちろん、私達も手伝うさ」
エルヴィンの笑みがこうなる事をわかっていた様で少し苛つく。
「わ、たし、」
「ん?なんだい?」
「わたし、ちょーさへいだんにはいる!」
「え?」
「君は調査兵団に保護されているよ」
エルヴィンがそう言えばサラは横に顔を振った
「わたし、かえるために、ちょーさへいだんにはいるの」
「「「………」」」
三人は顔を見合った
「……リヴァイの言う事をよく聞けば、入れるさ」
「なっ、エルヴィンッ」
「その前に君は沢山勉強しなくてはいけないな」
******************
「エルヴィン、どういう事だ」
「なにがだい?」
「あいつの事だ!」
バンッと机を叩くがエルヴィンは全く動じない。
「……言葉に嘘はない」
「あいつを調査兵団に入れるのか」
「まだ先の話だ。」
彼女はまだ小さいだろう、と言う言葉を続けた後エルヴィンはため息をついた
「だが、ただ飯を食わせる気はない。そうだろう?」
「…………」
「リヴァイ、君に頼んだのには理由がある。わかるな。」
「……考えておく」
「君ならやってくれると信じてるよ」
リヴァイは眉間に皺を寄せてそのまま部屋を出た
審議の中の真実とは
(部屋には眠りについたサラが居た)
(まだ、ガキだ…)

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