これは命令だ
「リヴァイが!ついに!子どもを拉致し――ぶふぉお!!」
合流した瞬間に腹が立つ言葉を口にしたハンジを蹴り飛ばした後子どもを地面に降ろす
服が汚れてしまい眉間の皺を濃くしたリヴァイをエルヴィンが柔らかい笑みを浮かべて話し掛けた
「どういう事か説明してくれるかな?」
面倒だと感じつつも報告を行う。
「変な巨人だね」
「あぁ。気になる点もいくつかある」
「ただの奇行種だとしても、果物を運んでいるなんて。巨人が食べるために運んでるのかな?」
「巨人が果物を食べるなんて聞いたことねぇ」
そうだよねぇ、とハンジは興味有りげに子どもを見る。子どもはビクッと肩を跳ねてリヴァイの後ろにまわった
「とりあえず巨人が集まってきている報告も来ている。今回はこの子どもを保護し、壁内に戻ろう」
エルヴィンが不安そうな顔をする子どもに近づき頭をなでる
「私はエルヴィンだ。君を保護しようと思う」
「ほご?」
「あぁ」
言っている意味はわかっていないだろう。不安そうに下を向くだけだ
「ままは…?」
「………さぁ、準備をしよう」
エルヴィンはその言葉を無視して指示を出した
「………」
リヴァイは静かに子どもを見降ろす。
******************
壁内に戻れば罵声を浴びさせられた。いつもの事でなにも気にせずに馬を進める。
一つ後ろの荷台に目をやった。エルヴィンの指示で人目に付かないように隠した子ども。マントで隠していたため自分のマントは汚なくなってしまい良い事がない。
まぁ、後はエルヴィンがなんとかするだろうと思い、治療を受ける者や馬の世話をする者の間を縫ってエルヴィンのもとに連れていく
そこで言われた事は衝撃的な一言だった。
「あぁ、子どもはリヴァイが監視していてくれ」
「あ“ぁ??」
「君が保護したんだ。君が面倒をみるんだ」
「ガキは嫌いだ。他の奴に任せればいいだろう。俺がする必要はない」
「いつからかはわからないが壁外で生き延びていたんだ。あの子どもは。なにか能力があるかもしれないだろう」
「だったらハンジに―‐」
「リヴァイ、命令だ」
「……」
「部屋はまだ準備できていない。君の部屋で過ごさせるように」
「なっ…!」
「服は用意させている。後は任せるよ」
「……」
ぱたん、と力なくドアを閉める。汚い子どもが自分を見上げていた
「……まずは風呂だ。汚すぎんだよ」
「リヴァイ、私がやろうか?」
外で待っていたハンジが話す。
隣にはミケも居たが、鼻が利くからだろう、子どもを見た瞬間鼻を塞いでいた。
「てめぇに任せたら適当に洗うだろうが」
「そんな事ないよ」
「俺の部屋に入れるんだ。妥協は許されねぇ」
「えっ!リヴァイの部屋で預かるのかい?爆笑ものだね!!」
「命令に従うまでだ」
そういうリヴァイの顔は納得していなかった。
******************
風呂場まで子どもを連れていく。
服は汚れに汚れ真っ黒である。
放置された髪は絡まり固まっている
「きったねぇな」
いつまでたっても動こうとしない子どもを見兼ねて服を脱がしていく
「おい、名前は」
「……サラ」
「そうか」
途中まで脱がすとサラは自分で脱ぎ始める。それを確認してリヴァイはお湯の用意を始めた
ついでに自分もはいるか、と考えた。
「お、ゆ?」
「っ、」
すぐ後ろから声が聞こえて振り向く
「おゆ?」
「あぁ」
服はすべて脱いだらしい。
肌色が目につく。
上から下に視線をずらした時だ。
「………先に入って待ってろ」
首を一度傾げてたが、おとなしく風呂場に入るサラ
(…………女、だったのか)
ため息が出た。
見ては行けないものを見たような、少しの罪悪感。
自分についているものが、あの子どもにもついていると勝手に思っていたのだ。
(ハンジを呼ぶか…)
子どもとはいえ、流石に…と考え部屋を出ようとした時だ
「へくちっ」
「……」
小さなくしゃみが聞こえた
「……」
眉間に皺を寄せ手を頭に当てる
今回は仕方ない。
緊急事態だ。これは命令をされているのだと自分に言い聞かせ、足と手の服を捲る
これは命令だ
(後で騒ぐなよ)
(??)

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