決められた道
サラと会ってから、早いものでもう季節が一回りした。
エルヴィンに呼び出された俺は雨を横目に見ながら部屋へとむかう。
部屋に入ればエルヴィンはいつもの笑顔で待っていたが、話が進につれその顔は真剣なものになる
「サラはずいぶんとリヴァイに懐いているね」
「…そうか?」
「いつも君のろをついて歩いてるじゃないか。それにこないだの壁外調査…泣かれたらしいな」
クスリと笑ったエルヴィン。
誰から聞いたんだ、とため息混じりで答える
「それより、話ってのはなんだ」
「サラの事だよ」
「………」
「一年前の報告によると彼女は巨人に襲われていない。」
エルヴィンは立ち上がって雨で見づらくなった外を見る
「全ての巨人に襲われないのか、それともあの時会った巨人にだけ、なのか…」
「そんな話を聞かせるために呼んだわけじゃねぇだろ」
「……もしも、全ての巨人に襲われないのだとしたら凄い発見だ。そして巨人を倒せる技が彼女に備われば」
確実に使える人材だ、とエルヴィンは振り向きながら口にした
「…それで?」
「襲われる襲われないどちらにしても彼女には力が必要だよ」
つまり、襲われないのであれば危険な所に彼女だけを向かわせて巨人を倒させるという事も不可能でなくなる。
だが襲われるのであれば、倒す術を知らない彼女を守りながら戦うのは無理だ、という事だ。
そして都合のいい事に彼女はこのいつでも人材不足の調査兵団に入りたいと自ら言っている。
どちらにせよ都合がいいのだろう。
「君が指導すればいい兵士になる。親心は捨てるんた」
「…そんなもんねぇよ」
ソファーから立ち上がり俺は部屋を出た
*****************
「お帰りなさい」
自室に戻ればピンクのはたきを持ったサラがこちらに走ってきた
「あぁ」
「エルヴィンさんとのお話、終わったんですか?」
「…あぁ。サラ、こっちにこい」
「はい」
呼べばすぐに来るサラ
掃除の為捲った袖から見える白い腕。
傷一つない、きれいな腕だ。
(この手が、腕が傷つく、か)
別に彼女を特別扱いするわけではない。だが、一緒に暮らしていたからかどうも感情移入してしまう
(俺らしくない)
「リヴァイさん、今日もお掃除がんばりました」
「…そうだな」
頭を撫でてやればサラは驚いたように目を真ん丸くした後に嬉しそうに笑った
「リヴァイさんに、頭撫でられるの嬉しいです」
「――‐っ、」
(俺に、できることは――‐)
「サラ、」
彼女は兵士になる以外に道はないのだ。だったら答えは一つ。
「お前を一人前の兵士にする」
「え…」
「生きるために戦う術を教える」
サラはきゅ、と唇を噛んだ。
「お願いします」
強い目は決意を表しているようだった。
リヴァイは少し目を細めてサラを見つめる
決められた道
(それだけの力を付ければいい)
(死なないために、生き抜くために)

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