おかえりなさい
壁外に出て3日たった。
(飯、ちゃんと食ってるだろうな…)
「リヴァイ、考え事かい?」
「うるせぇ」
ハンジが近寄ってきてリヴァイの肩を叩いた。
リヴァイはその手をはらう
「サラが心配なんだろ」
にやにやと話かけてくるハンジを見てイライラした。
「なんだかんだでサラが大事なんだねぇ」
「はっ、バカ言ってるんじゃねぇよ」
「よかったね、もう帰れるじゃない」
馬に跨り腹を蹴ればおとなしく動き出す
「サラが笑顔で出迎えてくれるよ、きっと」
「………」
リヴァイは何も言わずに馬を走らせた
**************
壁内に戻ったからと言って自室にはすぐには戻れない。
しなければいけない報告や書類が待っている
(遅くなったな…)
辺りはもう暗く静かだ。
(もう寝てるか…)
自分の部屋にいるだろう幼いサラはすでに夢の中だろうと考えドアを静かに開ける
(先に風呂だ)
この埃っぽさから早く解放されたいと心底思う。
ドアを開け部屋に足を踏み入れた瞬間リヴァイは眉間の皺を濃くした
(なんだ…)
部屋の空気がこもっていた。
ドアを開けたからだろうか、小さな埃が舞っているのが窓から漏れた光によって見える
(あいつ…掃除しなかったな)
いつも通り過ごせ、とサラには伝えていた。その中にはもちろん欠かせない掃除も含まれている
舌打ちを一度して部屋内に入った時
「り、う゛ぁいさん…?」
「……サラ、起きてたのか」
ベットの上のシーツの固まりがごそっと動いた
サラがくるまって居たんだろう。
リヴァイは一言文句を言うため近づいた
「サラ、これはどういう事だ。お前掃除――‐」
どん、
近づいたリヴァイに気付いたサラがシーツごと寄ってくる。そしてそのままリヴァイの腰に抱きついた
「……おい」
「……………」
「サラ」
「………」
「ちっ」
舌打ちをすればサラの腕の力が弱くなる
「……飯、食ったか」
「……」
首を左右に振るサラ
リヴァイはサラの腕の間に手を入れて持ち上げた
(…?軽いな…)
そのまま抱っこして窓に向かう。この埃っぽい空気を早く入れ換えたい。
足を運ぶ途中でぐすっ、と鼻を啜る音が聞こえた
「…サラ?」
窓を開ける。心地よい風が吹いてサラが被っていたシーツが捲れた
月明かりが妙に明るく感じてサラの顔を照らす
「リヴァイさん……っ」
大きな目と合った
「お前…」
その目は真っ赤に腫れていて痛々しい。
泣いていたのだろう、涙が通った後が頬に残っている
「なに泣いてんだ」
「リヴァイさんが、い、居なかった、からっ」
「………留守にすると言っただろ」
「壁外に行くって、聞いて」
危ないんでしょ?と続けるサラ。
「帰って来なかったら、どうしようって思ったの…」
「バカな事言ってんじゃねぇ」
「おかえりなさい……」
ぎゅ、と首に抱きつかれる。
「……あぁ」
そのまま頭を撫でてやればもっと手に力がこもる。
「苦しいだろうが」
「寂しかったんです」
「…まず風呂だ。きたねぇんだよ、顔」
「いっしょ?」
「1人で入れ…」
「入れない」
「いつも1人で入ってるだろ」
「今日だけリヴァイさんと入りたい」
「……俺はお前の親じゃねぇ」
「いっしょがいいです」
少しの間があいてリヴァイは今日だけだぞ、と呟いた
この後サラはご飯を食べてない事をこっぴどく怒られるのだった。
おかえりなさい
(サラ、肩までつかれ)
(リヴァイさん傷だらけ。痛い?)
(もう痛くねぇよ。それよりちゃんとつかれ)
(はーい)
(のばすな)
(はい)

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