彼は納得したように頷くと私からコップを受け取った
「腹は空いてるか」
「あんまり…」
「少し食べたほうがいい」
彼はドアに向かって歩きだした
「後、俺はリヴァイだ」
ぱたん、と扉が閉まりカチャリと鍵を締める音がした
「はぁ……」
嘘を吐いてしまった。
もし本当のエリさんが現れたらどうすればいいのだろうか。
(その前に帰らなきゃ)
まず周りを見渡す。
シンプルながら可愛らしい部屋だ。壁ぎわにベットが一つ。
本棚にはいくつかの本があり、丸いテーブルには花瓶が置かれている。
(あの人……俺の部屋だって言ってたけど…)
立ち上がり本の表紙を見る。
文字は読めないが可愛らしい女の子の絵が描いてある所を見ると恋愛ものな感じがした。
(どこの文字なんだろ?)
彼―‐リヴァイさんは日本語を話していたのに…
(それに、なんか―‐)
本を戻して部屋全体を見る
「女の子の、部屋って感じ」
そう。布団の柄は花柄。
本は恋愛もの(憶測だが)
オルゴールまである。
タンスを開けてみる
「っ!」
中にはワンピースにアクセサリーと女ものが多く揃っていた
「どう考えても彼のじゃないよね…」
どういう事か説明してもらおう、と考えていたとき、ふと気付いた
(そういえば…さっきカチャリって音がした……)
ドアを見るが鍵はついてない。
いや、それよりもおかしい事がある。
急いでドアを確認する
(鍵穴がこっちについてる…!!)
ドアのぶの上。
鍵穴がある。
(ここは部屋の中よね?なんで鍵穴なの??)
普通は手で回せるタイプの鍵が室内にはついているはずだ。
この鍵穴は外になるはずなのに。
何かがおかしいという不安が確信にかわる。
「えっ、うそっ」
ドアが開かないのだ。
ガチャガチャとドアのぶを回すがドアは押しても引いてもびくともしない
「な、なんで!?閉じ込められたの!?」
他の出口を探そうと部屋を走る
ここ以外にドアは2つ。
一つはトイレだった。
もう一つのドアも勢いよく開ける
「お、ふろ…」
(そうだ、窓っ)
窓はあった。
日の光が部屋を照らしていたから。
「ダメだわ…」
窓はベットの上にあった。
だがそれは手に届く範囲ではないし、まるで逃げれなくしているかのように鉄格子がはめられている。
「ここ……なんなの…??」
「なにしてる」
「ひっ!」
いつの間にかリヴァイさんが後ろにいる
彼は不思議そうな顔をしてテーブルに近づいた。
手には湯気がたった食事がある
「あ、あの、リヴァイさん」
「………」
「ここは本当にあなたの部屋なんですか……?」
どくどくと心臓が鳴る。
「…あぁ」
「随分、女性らしい部屋ですね」
「……………」
リヴァイさんの動きが止まる
彼は食事をテーブルに置いてこちらを見た
「鍵だって…おかしいわ……これじゃぁまるで――‐」
誰かを閉じ込めるための部屋じゃない
「――‐!」
言い掛けて私はやめた
(窓には鉄格子、開かないドア、でも整えられた環境)
前にテレビで見た光景を思い出す。内容はこうだ。
男性が女性を監禁する、というものだ。
生活環境を整えた部屋に監禁し、自分だけのものにする幼稚な考え
(でも、まさに今の状況じゃない…!!)
「なぁ、エリよ。」
「っ!」
リヴァイさんが一歩近づく
「何がいいたい?」
またあの目だ。
冷たい目。
(あぁ、もう…!!)
痛い心臓
(どくどくどくどくと煩いな!)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -