この人はやっぱりちょっと頭がおかしいのかもしれない。
「恋、人…??」
私、付き合ってる人いませんが。なんの勘違いですか?と聞きたくなったが私の口からは言葉が出なかった
「エリは3ヶ月前に俺の前から居なくなった」
「あの…「外に居たから会えなかったんだな」
「私―‐「あんな事があったんだ。記憶が無くなっても仕方ない」
「だからっ「それともお前はエリじゃないのか?」
人の話を聞かない人だ。
私は確かに恵梨だが、多分彼の言っているエリと言う人物ではない。
しかも記憶が無くなっても仕方ない?私の記憶は確かだ。ちゃんと昨日食べたご飯も思い出せる。
(この人勘違いしてるんだわ)
そのことを伝えようとした時だった
「もし、エリでないならまたあそこに連れていくまでだがな」
「っ―‐!!」
私は開いた口をすぐに閉じた
“あそこ”とは私がアレに会ったところの事だろうか。
あんな化け物の所に……
(む、無理。行けない)
ぎゅ、と拳を握る
(あそこに戻されたら、私は確実に食べられちゃうわ)
「お前は、アレに会ってショックで記憶が無くなったエリなんだろ?」
(……あそこに行くのだけは、避けなきゃ)
私は彼の目を見る。
冷たい目だった。否定は許さないような、そんな目だ。
「……何も、覚えて、ないの」
頭を使え。今必要なのはこの勘違いをとく事じゃない。
無事に帰れる手段を捜す事だ。
「私はあなたの恋人なのね…」
彼の顔をまた見る
「っ、」
彼は先程と違い優しい目をしていた。
「エリ、俺の隣にいれば必ず守ってやる」
そして、どこか嬉しそうだった。それは恋人に会えた嬉しさからの笑顔では無いように感じる。
子供が親をだますために嘘をついてうまくいった時の様な、そんな笑顔だった。
私は演じる
(今日から私は“エリ”になった)
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