目を開ければまた知らない部屋で、またかと思う反面、会社に戻れた?と浅はかな期待を胸に抱いた。
それはすぐに違う事がわかる。
彼の登場で。
「気分はどうだ?」
「ここは……どこですか」
視線を彼の居るところに動かせば彼は私をじっくりと見た
私はその真っ直ぐな目を見れなくて自分に戻す
私はどうやらベットに寝ていたらしい。
花柄の布団が私を包んでいた。
私は上半身を起こす
「ここは壁の中だ」
「か、べ……?」
何言ってるんだこの人は。
私はそんな事を聞いてるんじゃない。壁の中?そんなの部屋なんだから壁に囲まれてるに決まってるじゃないか
「気を失ったからここに運んだ」
(そういえば……私――‐)
あの光景がフラッシュバックのように思い出され私は吐き気に襲われた
「おい、大丈夫か?今水を持ってくる」
(私は…私はっ、人が食べられる、のを、見た―‐!!)
あの、ニタニタ笑う化け物にあの男性は食べられたのだ
カチカチと奥歯が思い出したように鳴りだす
「エリ、大丈夫だ」
彼が戻ってきて私の背中を擦る。手には水が入ったコップを持っていた
「落ち着け。ここにアレは居ない。安全だ」
どくどくと身体の血液が早く循環する感覚を感じながら、私は水を受け取り飲み込んだ
「アレは、なんですか…ここはどこですか…っ、なんでっ、なんで私の名前を知ってるんですかっ」
身体を丸めて叫ぶ。
意味がわからない事ばかりで頭がおかしくなりそうだ。
「質問は一つずつにしてくれ。いっぺんに言われても困るだろうが」
「……ここはどこですか」
「俺の部屋だ。まぁ、実際は隣の部屋が俺の部屋で、ここは空き部屋だがな」
「ここはあなたの家?」
「答えられない」
「…なんで」
「次にアレについてだが、アレは巨人と言って人間を襲う奴らだ」
「…きょ、じん?」
「だが、お前は二度と会うことはない」
「そう……良かった…」
「最後に名前だが………」
彼は一呼吸置いてから口を開いた
「お前は俺の恋人だ」
なんの冗談か
(私は開いた口が塞がらなかった)
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