夕方になって鍵の開く音がした。
(帰ってきた…)
しかし中々ドアが開かない。
いつもすぐに開くのだが。
おかしく思いドアの方へと向かうと少し遅れてドアが開いた
「あ、お帰りなさい」
「あぁ」
彼は手に分厚い紙の束と緑の布を抱えていた。
「それは?」
「仕事が立て込んでな。目を通さなきゃならねぇ」
ちっ、と舌打ちを1つ零してリヴァイはテーブルに紙の束を置いた
(ハンジさんが兵長って言ってたけど…それって軍隊とかの階級だよね?)
(つまり、彼は忙しい上司ってわけかな?)
「エリ?」
「えっ、あっ、なに?」
「何を考え込んでんだ?」
俺が居ない間に何かあったか?と聞きながらリヴァイが近づいてくる
「何でも無いよ」
薄い笑顔をつけて答えたが、彼は納得いっていないようだ
「何かあったらすぐに言え」
「うん、ありがとう」
「後、新しい服だ」
綺麗な薄い緑のワンピースを手に持ってリヴァイは私に合わせた
「エリは何色も似合うな」
「……服、はもういらないよ。タンスにいっぱい着ないの入ってるし…」
「腐るもんじゃねぇんだ、いくらあってもいいだろ」
「お金もかかるし…」
「それなりに稼いでる。気にするな」
それより着てみてくれ、という彼。
「エリは緑が好きだっただろ」
(そうなんだ…)
「自由の翼が背負える色だ」
そういえば、緑のフード付きのマントを見たことがある。
背中には確かに羽のマークがかかれていた
(背負えるということは…エリさんも兵士なのね。そういえばハンジさんが壁外調査で亡くなったって言ってたから……リヴァイが兵長ならエリさんは部下なのかな)
色々わからない事が多い。
それは始めからそうなのだけれど。
「(というか…)兵長って偉いの?」
「………なんだと?」
「だって色んなもの買ってくれるし…偉いから稼ぎも良いのかなって」
「そうじゃねぇ」
「……えっ?」
一瞬だった。
肩を捕まれる。
横目でワンピースが宙を舞っているのが見えた
そのまま押し倒されてベットが軋む音が耳元で聞こえ、背中に衝撃が走る
「いっ、た……!」
上にかぶさるようにリヴァイが目の前まで来た。
「なんで俺が兵長だと知っている。俺は一言も言ってないぞ」
「…!」
やってしまった。
確かにリヴァイから兵長という言葉を聞いたことがない。
「エリよ…誰かと会ったのか?」
「あの……」
手首を捕まれる
「誰と話した」
「誰も来てな―‐い”っ」
手首をより強く握られた。痛みで眉間に皺がよる
「エリ、俺に嘘を吐くな」
「い、痛いよ!リヴァイ!」
「悪い子には仕置きが必要だろ?」
「はな、してっ」
「誰が来たのか言え」
「だから、知らな「外の鍵穴に小さな傷が幾つもあった。俺以外の誰かが鍵を開けようとしたって事だ」
「!」
「もういい訳はできねぇぞ」
(ダメっ!!絶対言えない!)
ハンジさんはリヴァイの知り合いの可能性が高い。今彼女の名前を出せば、彼女に被害が行くかもしれないし、私を助けてくれる人が居なくなる
「エリ、言わねぇのか?口止めされてるのか?」
(どうしよう…!)
どうにかこの状態を抜け出さなくては。でも力では叶うはずもなく、私はリヴァイの下をもぞもぞと動くしかできなかった
「俺に嘘をつくな……エリを守りたいんだ………愛してるんだ…」
リヴァイは少し悲しそうな顔をした。声は弱々しい
(嘘をつくな?愛してる?なによ、それっ)
「リヴァイだって嘘、ついてたじゃないっ!!」
「エリ?」
「なにがっ、なにが外は危険よっ!巨人なんて居ないくせにっ!」
力一杯暴れるがまた押さえ込まれる
「わ、私、リヴァイが優しいからっ、守ってくれてるからって思ってたのにっ…!これじゃぁただの監禁よっ!早くここから出してっ!!」
もうどうにでもなれだ。彼に嘘をつき続けるなんてできそうにない。こうなれば無理矢理にでも逃げ出さなくては!!
足をあげる。
腹を蹴ってやろうとしたが足を捕まれた
スカートが捲れる音がして、するするとリヴァイの指が捕まれた場所から太ももまで移動する
「っ、いやっ!」
「……守りたい事に嘘はない。もちろん、愛してる事もだ」
手首を捕まれていた手が離されて胸元まで動く
襟を捕まれて胸元のボタンが弾け飛んだ
「いい…眺めだな」
「……私はあなたの、知ってる…エリじゃ、ない」
声が震えた。
リヴァイが、笑っていたから
「私は…エリだけど…違う世界から来たの…だから、あなたの愛してるエリじゃないのよ」
ハンジさんは彼女は死んだと言っていた。
もしもリヴァイが彼女の死が受け入れられなくておかしくなってしまったのだったらここで真実を教えてあげなくてはいけない
「もう、彼女は、死んでるんでしょ…?」
リヴァイの顔を見れば無表情でドキリとした。
冷たい視線がぶつかってゆっくりと口が開く。
「それが何だ?」
「えっ……?」
リヴァイの顔が近づいてきて私の首元に顔を埋めた

「お前がエリで無い事くらい始めからわかっていた」
私は目を見開いた
チクリとした痛みが首元にして、赤い花が咲いた。

息が止まる
(どういうこと)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -