ななしはまたリーバーの所に居た。
そしてまたあの時と同じように泣いていた
「ななし、また泣いてるんだな」
「…あぁ」
コムイに結果書類を届けに行ったとき、科学班が目に入った。
中に居たななしにも気付いた。
「任務帰りにはいつもリーバー班長のとこに行ってるよ」
「へー」
「提出ご苦労様。ご飯まだ?今なら空いてるんじゃない?」
「おー。もうお腹ペコペコさぁ」
よっ、と勢いよく立ち上がり体を伸ばす
「んーっ!」
「ラビは……」
「ん?」
「甘えてると思うかい?」
「ななしが?」
確かに辛いのは皆一緒だ。
ななしだけじゃない。他にも誰かに甘えたいと思っている奴はいっぱいいるだろう。
「……僕は、それでも彼女がまた戦場に行くのに必要なら、与えてやりたいんだ」
**************
「ななし、もう大丈夫だ。よく頑張ったな」
ななしの頭を撫でるリーバーの目には隈がある。
怖かったのだろう。震える肩。
黒のワンピースからは包帯やガーゼが無数に見える。
「もう休め、な?」
疲れただろ?というリーバーの声が聞こえて目が合った。
「ラビ!悪い、ななしを部屋に送ってやってくれ」
その声を聞いたからかななしもこちらを向いた
「ななし、行こう」
静かな廊下を歩く。
彼女が涙を見せるのは誰でもいいという訳ではないらしい。
リーバーから離れたななしぴたりと涙を止めた。
(なんでリーバーにだけ…。気を引きたいのか?)
それとも俺に涙は見せたくないのか。考えてもわからない。
彼女の事をよくわからないのだ。俺は。
(そういえば、イノセンスも見たこと無いな)
結局一言も話さずにななしの部屋に着いた。
「一人で平気さ?」
部屋に入った彼女を見送ったら帰るつもりだった。
だが、なんとも弱々しいななしの後ろ姿を見たらそんな言葉が口から出てしまう。
部屋を開けたななし。
部屋の中が見えた。ベットと本棚、机だけの部屋。
床には丸いカーペットがひかれており、その上には所々破れた団服とぬいぐるみが散乱していた。
「団服、皺になっちまうよ?」
女の子の部屋に勝手に入るのは気が引けたがラビは中に入った。
団服をハンガーにかけてやる。
次にぬいぐるみを拾った時だ。
「っ、わ、悪い!」
ぬいぐるみの手を持った時、手が取れたのだ。
猫らしいそのぬいぐるみはボロボロで、目は片方取れてるし、綿もはみ出していた
「もとから、そうだから、いいよ」
「……………」
ラビはそのままぬいぐるみを置いた。
「傷、痛むさ?」
「…うん」
ななしに近づいて頭を撫でれば、涙で腫れたななしの目と合った。
「……怖かったな」
「――‐!」
なんでそんな言葉出たのかわからない。でもそう思ってしまった。
まだ12歳だ。この子は。
任務地に行けばいろんな奴から希望の目を向けられて、戦うしか選択ができない中、傷を作りあの化け物と戦うのだ。
「頑張ったなななし」
「うっ、ひっ、こ、怖かった、よぅ」
きっと彼女はずっと任務中は我慢しているのだろう。
こんなにも泣き虫で弱いのに、必死で我慢するのだ。
「なぁ、ななし。今度は俺のとこにも来て」
いくらだって泣かせてあげる。
甘えさせてあげる。ドロドロに溶けるくらいに。
小さな少女の涙
(なんて愛しいんだろう)

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