私の兄は格好良い。
顔は勿論だけれど勉強に運動もできる。
だから、モテモテである。
それに比べて私はどうだろうか。
顔は兄に多少似ているとはいえ、運動も勉強も平均的で、異性からは声がかかったためしがない。
「はぁ。」
「Ah?どうした?」
頬杖をつきながら兄を見ているとため息が出た。
雑誌を見ていた兄は視線をこちらに向けた。
「私、お兄ちゃんに似てないよね」
「そうか?」
「私勉強も運動も得意じゃないし」
「俺だって特別好きじゃねぇよ」
「でもできるじゃない」
「まぁな」
さらっと自慢されて、自分から話を振ったくせにむっとしてしまう。
「政にぃまた女の子に声かけられてたでしょ」
「忘れたな」
「酷い男ー」
「うるせぇよ」
頬っぺたをみょーんと伸ばされた。痛い。
「女の子に酷い仕打ち」
「Ha!躾だろ」
「小十郎さーん!」
テーブルを離れてキッチンにいる小十郎さんに泣き付く
「政宗様」
「悪かったって」
政にぃは小十郎さんに言われたら言い返せないのを知ってるのだ。ざまぁみろ。
小十郎さんは私の頭を数回撫でた後お茶を持って離れた。
私も後に続く。
「この歳になっても彼氏居ないとかやばくない?」
「別にやばくはねぇだろ」
「なんで政にぃはモテるのに私はダメなのかなぁ」
「性格」
「失礼」
「ななし様はまだお若い。焦る必要はありません」
「いやいや、なかなかのいい歳だよ」
ぐでーと机にくっつく。
「私も自転車二人乗りとか、夕焼けの中待ち合わせとか青春生活送りたいわ」
「二人乗りは危ないから許可できません」
「そうじゃないよ、小十郎さん」
「俺は待つの嫌いだ」
「だからそうじゃないんだって、政にぃ」
小十郎さんと政にぃが目を合わせている
「まぁ、今は2人が居るからいいけどね」
お茶を口に含めば小さな悩みも流れて行ったのが数日前だ。
「何これ」
そして今日。
私は見てしまった。
「てめぇ、俺の妹に手ぇ出したらどうなるかわかってるよな?」
「す、すみませんでした…!!」
最近仲良くなった隣のクラスの男の子と一緒に居る政にぃを。
「なになに?知らなかったの?」
「政宗殿はいつもあぁしてるでござる!」
「嘘でしょ!信じらんない!!」
佐助先輩と幸村くんのランチタイムに突入して見てしまった事実を伝えれば、なんともあっけない答えが返ってきたのだ。
「じゃぁ、私が今まで彼氏できなかったのって……!」
「竜の旦那が前もって釘を刺してたってわけ」
「先日、片倉殿も同じ様な事をしてたでござる!」
「これはもう家族会議ね。ありがとうございました佐助先輩。あと幸村くんいっぱい溢してるよ」
もう旦那ー!ってお母さんみたいな対応をしている佐助先輩をよそ目に私はずかずかと教室を出た
青春はどこに
(ちょっと!どういう事よ!)
((……………))
(性格のせいじゃないじゃない!)
((……………))
(私の青春返してよー!!)

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