くせっ毛


朝起きて、鏡をみればボサボサの頭。
くせっ毛のせいか、あらゆる方向に向いている髪の毛が嫌で手櫛で整えるが結局なおらずに終わってしまった。
(くるくるぱー)
昔、小さい頃に男の子に言われた言葉を思い出す。
学校でよく男の子からそう呼ばれていた。
髪の毛を引っ張られる事もあった。
少しは良くなるかと思い、この歳になって髪を伸ばすも、肩甲骨まで伸びた髪は重さで良くなるはずもなく、やはりうねってしまっている。
「さくらちゃーん」
「はーい」
今日は休みだ。寝室から私を呼ぶ声がする。
彼の事だから時計の針が真上に来るまで布団でゴロゴロする気だろう。
私は髪をそのままに声のほうへと足を進めた
「遅かったね〜、はやくこっちおいで」
布団にくるまっている白石くんが少し捲ってポンポンと叩く。
「何してたの?」
「髪の毛がね、ボサボサだったの」
「さくらちゃんくせっ毛だもんな」
「短くしても長くしてもくるくるぱーなの」
「可愛くていいじゃん」
布団にはいると白石くんは頭を撫でてくれた
「やだよ、引っ掛かるし、おばさんみたいだし」
「俺は好きだけどな〜」
「昔くるくるぱーって馬鹿にされてたの」
「なっ、それ男〜?」
「うん。引っ張られたりとか」
それを言うと彼は珍しく眉間皺を寄せた
「そいつさくらちゃんのこと好きだったんじゃないの〜?」
口を尖らせながらいう彼はいつもより幼く見える
「俺もね、髪伸ばすとくるくるするよ」
「えっ、そうなの?」
「今度お揃いにする?」
「ふふ、白石くんの髪あるのイメージつかないや」
にこっと笑った白石くんが私の髪を少しだけとって
、ちゅ、と口づけした
「さくらちゃんとお揃いにしたいから本気で伸ばしてみようかな」
くせっ毛
(大好きな彼とお揃いなら、この髪も悪くない、なんて思ってしまった)



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