一重


「気にしてたんですか〜?」
「!!」
宇佐美くんの手には先日かったばかりのアイプチが握られていた。
リキッドタイプのそれはケースにバレない自然な二重に!とうたっており、こっそり購入して棚にしまっていたはずだ。
「なんでもってるの!?」
「さくらってこういうの気にするんだ。確かに一重みたいだけど」
「返して!」
ずいっと顔を近づけられて目をじっと見られる。
彼の言うとおり私は一重だ。しかも、重たく腫れぼったく見えるほどの。
昔からぱっちり二重の女の子に憧れていたし、二重である子は無条件で可愛く見えるほど羨ましく思っていた。
「バレないって…、もうバレちゃったね」
あはっと笑う宇佐美くんが少し憎い
「二重にした所でなにも変わらないんだし、捨てていい?」
変わらないって…、そんな言い方をしなくてもいいじゃないか。私は宇佐美くんの言葉を聞いて下を向いた。恋人に一重がコンプレックスだったことがばれて、努力しようとすれば変わらないと言われ、なんて惨めなんだろう。
「……それでも、可愛く見せたかったの」
「………………」
ばれてから使うのも恥ずかしいし、それは捨てようと思っていたら、バリッとプラスチックを破る音がした
「折角だから使ってみよーよ。どうせ捨てるんだし」
「……あ、うん」
筆タイプのそれに真っ白な液体を付けて瞼に塗る
二又に別れたプラスチックの棒を目に押し当てると宇佐美くんが声をあげた
「うっわ、痛そう。グロ画像じゃん」
「痛くないよ、どう?」
片目だけ綺麗な二重が出来上がって、私は鏡をみて顔を綻ばせた
「やっぱり、二重のほうが華やかじゃない?」
「んー」
手で片方ずつ隠しながら宇佐美くんが私の顔を交互に見る
「そうだな、」
宇佐美くんは顔を近づけてきて私のアイプチしていない方の瞼に唇を落とした
「いつものさくらが見慣れてていいかな」
そういって私の手からアイプチを取っていく
「それにこういうの目に入ったら危なそうだし。わかったらそのグロいの洗ってきなよね」
洗面所を指差した彼の言うとおり私はすぐに向かう
鏡をみれば真っ赤になった自分の顔が映っていた
(宇佐美くんって、たまにああいう事するんだよね)
恥ずかしくて仕方なくて、私はすぐに顔を冷ますために水に顔をつけた
一重
(戻るとさっきのアイプチで瞼を四重にしている宇佐美くんがいて私は笑ってしまった)


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